Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
パルスレーザ堆積法を用いて,SrTiO_3単結晶基板の上に,様々なリチウム電池電極材料のエピタキシャルモデル電極を合成した.LiFePO4(100)電極において,α軸方向へのリチウム異常拡散と膜厚減少による電極特性向上が観測され,Li(Mn,Co,Ni)O_2(1-18),Li_4Ti_5O_<12>(111)電極は理論容量を超える充放電容量を示した.また,中性子反射率法,表面X線回折法によるその場観察を行い,電池作成(固液界面形成)時の電極と電解液界面における構造変化を調べた.LiFePO_4(100)電極では,格子間リチウムの挿入,Li(Mn,Co,Ni)O_2(1-18),Li_4Ti_5O_<12>(111)電極では,リチウム欠損の生成が観測された.このことから,固液界面形成に伴いリチウム拡散が進行し,空間電荷層が形成されることが示唆された.ナノ電極における,マイクロ電極と大きく異なる電気化学特性は,これまでナノ効果として,比表面積の増大や,リチウム・電子拡散距離の短縮,表面エネルギーの寄与によって出現すると考えられてきた.しかし,本研究の結果から,空間電荷層の形成後の構造が,ナノ電極の電気化学特性に寄与していることが見出された.電池作成時に観測された空間電荷層の形成は,電極と電解液界面における化学ポテンシャルの差を緩和させるために,リチウムが拡散したことによると考えられる.半導体や電子伝導体の場合,界面における空間電荷層は電子の移動によって形成される.しかし,リチウム電池電極材料や電解液は,電子伝導性が乏しいため,リチウムイオンが正電荷キャリアとして機能することで,空間電荷層が形成する.この挙動は,リチウムのインターカレーションが可能な電極の特徴の一つであり,さらに,それにより引き起こされる電極構造変化が,電子移動の場合に比べて大きいことが,電極の物性に強く影響し,ナノ電極の優れた電気化学特性に寄与していると考えられる.
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