生体内金属酵素の精密モデル化と活性酸素の捕捉・変換機構
Project/Area Number |
11116213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50209441)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 非ヘム酵素モデル / 酸素添加酵素 / 非共有性相互作用 / アルキルパーオキソ錯体 / ハイドロパーオキソ錯体 / 単核鉄錯体 |
Research Abstract |
生体系に存在する酸素添加酵素および酸化酵素は、その活性中心に鉄、銅等の遷移金属元素を有する一種の金属錯体である。これら金属酵素における酸素捕捉中間体の構造およびその活性機構を明らかにすることを目的として、我々は特に鉄や銅を含む非ヘム金属酵素に焦点をあて、酸素の捕捉・活性化機能を有する酵素のモデル錯体を合成し、その構造モデルおよび機能モデルの構築を目指して検討した。リポキシゲナーゼ、イソペニシリンNシンターゼ、カテコールジオキシゲナーゼ、ブレオマイシン等の酸素活性化酵素が存在し、非ヘム鉄-ハイドロパーオキソ中間体の存在が推測されている。本研究ではBPPA配位子を用い、過酸化水素との反応により安定な単核鉄(III)-OOH錯体の合成に成功したのでその詳細を報告する。既に、過酸の一種であるTBHPやCHP等のアルキルパーオキサイドとの反応で、その過酸付加体の検出に成功している。同様の錯体を用いてアセトン溶液中、[Fe(bppa)(HCOO)](ClO_4)_2に過酸化水素を反応させたところ、溶液は紫色を呈し、568nmにハイドロパーオキサイドイオンから鉄(III)へのLMCTと考えられる特徴的な吸収が観測された。この錯体溶液のESRスペクトルは典型的な高スピン単核鉄(III)錯体のシグナルを与えた。更に、ESI-MASSスペクトル測定により、溶液中において[Fe(bppa)(OOH)]^<2+>の組成を有する錯体種の生成を確認した。このような安定な過酸錯体の生成は金属中心に対する配位子BPPAの特異的な配位構造と電子的効果および非共有性相互作用の役割に起因するものと考えられ、これら不安定中間体の捕捉に成功したことは生体系金属酵素における反応活性中心近傍の環境を精密に再現できたものと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)