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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
[NiFe]ヒドロゲナーゼの活性部位における水素分解の反応機構を解明するために,水素の競争阻害剤である一酸化炭素(CO)とヒドロゲナーゼの複合体のX線結晶構造解析を行った.この酵素はNi-Fe活性部位に4本の非アミノ酸配位子を持ち,それらは(SO,CO,CN,S)と同定されている.このようにヒドロゲナーゼは金属配位子としてひとつのCO分子を持っているが,外からさらにCOを与えるとそれは可逆的な活性阻害剤となる.赤外吸収分光法や電子スピン共鳴分光法などの分光学的な研究からCO分子は活性中心のNi原子やFe原子と強い相互作用をしており,これらの金属原子に直接配位(あるいはそのすぐ近くに結合)することが示唆されていた.そこでCO原子により水素分解が妨げられることから,CO結合型の超高分解能X線結晶構造解析を行えば,通常のX線結晶解析では同定の難しい水素原子の初期吸着位置をCO分子の結合位置から推定することを本目的とした.COとヒドロゲナーゼの複合体のX線結晶構造解析の結果,外から導入したCO分子はFe原子ではなく,Ni原子に配位していることが証明された.また,その活性中心には反応中の水素分子と思われる電子密度が残っており,これは今後の動的X線回折実験による反応機構の完全解明の可能性を示すものである.さらにCO結合型の構造中には,かなりの数の水素原子によると見られる電子密度が現れており,それらを同定中した.また、CO結合型のヒドロゲナーゼが480nmあたりに吸収を示すことを見いだした。これから,共鳴ラマン分光法によりCOの結合状態についての情報を得ることに成功した.
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