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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
光学的に発生させたカチオン性レノセン[Cp_2Re](BF_4)(1)とチオフェンとの反応では,2位のC-H結合が選択的にレニウムに酸化的付加した生成物を与えたが,2位に水素を持たない2,5-ジメチルチオフェンおよびジベンゾチオフェンとの反応では,様々な位置のC-H結合が酸化的付加した生成物の混合物を与えた。これらはアセトン中で還流すると硫黄で配位した錯体に異性化したが,これに光照射すると再びC-H結合が酸化的付加した生成物に戻るのが見られた。また1とピロールとの反応では,2位のC-H結合が酸化的付加した生成物を選択的に与えた。既知の錯体ではN-H結合の酸化付加がほとんどであり,これは前例のない極めて珍しい反応である。また,カチオン性レノセンによるC-H結合の活性化には対アニオンの選択も重要であり,I^-を対アニオンとして用いるとその配置が優先し,C-H結合活性化は起こらなくなることが分かった。 キュバン型四鉄クラスターCp'_4Fe_4(μ_3-CO)_4(Cp'=Cp,MeCp)は,LiAlH_4で処理するとCO配位子が還元され,C-C結合形成を伴ってアセチレンクラスターCp'_4Fe_4(HCCH)_2が生成することを見出した。この反応の中間体の単離を目的として,LiAlH_4の量を減らし,反応を短時間行なった後,反応溶液を空気酸化したところ,CO配位子が1個,2個,3個および4個還元された四鉄クラスターの酸化生成物が全て得られた。このうちCO配位子が2個還元して中性体にすると2つのメチン配位子がカップリングし,アセチレン配位子に変わる現象が可逆的に起こることを見出した。これはクラスター骨格の酸化還元に伴ってクラスター上でC-C結合の形成と切断が可逆的に容易に起こることを示した初めての例である。
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