遷移金属―ホウ素二重結合を有するボリレン錯体の合成
Project/Area Number |
11120211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下井 守 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30092240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 泰朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10262099)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ボリレン / ボリル錯体 / 鉄錯体 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
金属-ホウ素二重結合を有するボリレン錯体の合成のためにいくつかの方法を試みたが,所期の化合物は得られなかった.しかし,金属一ホウ素結合の性質解明のために金属一ホウ素単結合を有するsp^3ボリル錯体の新しい合成法を開発し,ボリル錯体を生成する金属の範囲を拡大することができ,その結合性についても新たな知見を得ることができた. これまで用いてきた方法はCp^*基を有するメチル錯体に高圧水銀灯による光照射をしてBH_3・PMe_3と反応させるものであったが,この方法では鉄錯体の場合には収率が5%と極めて低かった.また同族のRu錯体の場合にはボリル錯体の生成はみられなかった.そこで金属陰イオン錯体とBH_2Cl・PMe_3との反応を試みたところ,鉄錯体では収率が14%に上昇し,またルテニウム錯体もこの方法で合成することができた(収率9%). K[Cp^*M(CO)_2]+BH_2Cl・PMe_3→Cp^*M(CO)_2(BH_2・PMe_3)]+KCl(1a:M=Fe;2:M=Ru) [(C_5Me_4Et)Fe(CO)_2(BH_2・PMe_3)](1b)および[Cp^*Ru(CO)_2(BH_2・PMe_3)](2)錯体について結晶解析をおこなった. 1bのFe-B結合距離2.195(14)Åは三配位ボリル錯体[CpFe(CO)_2(Bcat)](cat=1,2-O_2C_6H_4)では1.959(6)Åよりかなり長くなっている.Ru-B距離についても同様の傾向が見られた.これは三配位ボリルの場合ホウ素の空のp軌道へ金属からのπ供与が多少とも期待されるのに対して四配位ボリル錯体の場合にはそれが存在しないためであると考えられる. ν(CO)伸縮振動および^<11>BNMRからM(δ-)-B(δ+)の極性の存在が示され,ホウ素および金属の電気陰性度から期待される極性の反対の極性になっていることは注目される.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)