Project/Area Number |
11120241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石黒 慎一 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅林 泰宏 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90311836)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | パラジウム / DMSO / 配位構造 / カロリメトリー / IRスペクトル / 溶液X線回折 / クロロ錯体 |
Research Abstract |
ジメチルスルホキシド(DMSO)はソフトな金属イオンであるパラジウム(II)に酸素原子と硫黄原子のいずれでも結合することが知られている。実際、結晶中ではcis-[Pd(DMSO-O)_2(DMSO-S)_2]^<2+>の構造をとり、溶液X線回折でも同様の配位構造をとることが示された。では、パラジウム(II)がDMSOを逐次配位する時には酸素と硫黄原子の配位はどの様な順番でおこるのか。本研究ではPdBF_4)_2・4(CH_3CN)_4結晶を合成し、そのアセトニトリル溶液中でDMSOの錯形成を調べ、配位原子が酸素のみのジメチルホルムアミド(DMF)の錯形成と比較した。この結果、第一段階で、DMSOは酸素原子で配位すること、第二段階では硫黄原子で配位することがわかった。硫黄原子が配位するには、まずシグマドナー性の強い酸素原子がtrans位置に存在することが必要であることがわかった。同じ酸素原子配位でもDMSOの方がDMFよりも高い親和力をもつが、これがエントロピーの差に基づく。これは立体障害の大きさに関係している。第二段階のDMSO配位のエントロピーは大きな負の値であり、硫黄原子配位の場合、酸素原子配位に比べて、立体障害を強く受けることを示している。 逆に、DMSO中で存在している[Pd(DMSO-O)_2(DMSO-S)_2]^<2+>から酸素原子と硫黄原子配位のどちらのDMSOがはずれやすいのかをクロロ錯体の生成で比較した。IRスペクトルとX線回折の結果、硫黄原子がはずれて、[PdCl(DMSO-O)_2(DMSO-S)]^+が生成することがわかった。ただし、ジクロロ錯体になると、一挙に[PdCl_2(DMSO-S)_2]が生成し、酸素原子配位のDMSOがなくなる。今のところ、この原因は不明である。トリクロロ錯体は[PdCl_3(DMSO-S)]^-となってDMSOは硫黄原子で配位し、テトラクロロ錯体は生成しない。塩化物イオンの静電反発と配位原子のシグマドナー性、パイアクセプター性並びにトランス効果が配位構造を決定する要因となっている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)