Project/Area Number |
11122219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高原 淳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (20163305)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 結晶性高分子 / ポリエチレン球晶 / 偏光 / 近接場光学顕微鏡 / 複屈折 / 原子間力顕微鏡 / 消光リング / 表面エッチング |
Research Abstract |
ポリエチレン(PE)等の結晶性高分子の結晶構造は、結晶性高分子が示す典型的な凝集構造である。試料として等温結晶化した高密度ポリエチレン(HDPE)薄膜を用いた。HDPE薄膜のクロスニコル下での偏光顕微鏡(POM)観察ではマルテーゼクロスと共に周期が約3 μmの消光リングを有する直径が約100μmの球晶が観察された。HDPE薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)像には同心円上の周期的な起伏が観察され、この起伏の周期はおよそ3μmで、消光リングのそれとほぼ一致することから、この起伏はラメラのねじれに対応していることが明らかとなった。HDPE薄膜の消光リングと表面の起伏の相関を評価するため、クロスニコル下で偏光近接場光学顕微鏡(偏光NSOM)観察を行った。偏光NSOM像では、POM像と同様のマルテーゼクロスと消光リングが観察された。消光リングの周期はおよそ3μmであり、POM像における消光リングの周期と一致した。一方、NSOMの形態像では、AFM像と同様の周期的な起伏が観察され、この起伏の周期は偏光NSOM像で観察された消光リングの周期と一致している。このことから、表面の起伏に対応して光学的性質が変化し、ラメラ中の分子鎖軸(c軸)は、表面起伏の高い部分では膜表面に対して平行に、表面起伏の低い部分では膜表面に対して垂直に配向していることが明らかとなった。また、HDPE薄膜球晶表面の非晶部を除去するために過マンガン酸カリウムの濃硫酸溶液を用いてエッチングした。表面エッチングしたHDPE薄膜をクロスニコル下でPOM観察すると、マルテーゼクロス及び消光リングが観察された。同心円状の起伏の高低差は、エッチングの前後で大きくなった。これらのことより、結晶化過程でHDPE薄膜の極表面に非晶成分が析出することが示唆された。エッチング後のHDPE薄膜の偏光NSOM像は明確な消光リングを示し、表面の凹凸と明確な相関を示した。
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