Project/Area Number |
11123216
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉成 修 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10134040)
|
Project Period (FY) |
1999
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | 多層膜 / 拡散 / オージェ電子分光 / 非対称拡散 / 軟X線ミラー / 酸化 |
Research Abstract |
Mo/Si多層膜では固相反応においてSi上のMo(Mo on Si)界面での反応化合物(MoSi_2)の厚さがMo上のSi(Si on Mo)界面よりも厚くなる非対称拡散と呼ばれる特異な現象が観測される。本研究はこの現象のメカニズムを解明することを目的とした. イオンビームスパッタリング法により、Mo/Si多層膜の試料を作製し、試料を真空中で熱処理後、オージェ電子分光深さ分析、X線回折測定を行った。 Mo/Si界面でのMoSi_2相の成長には、界面の酸素濃度が大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。Si on Mo界面の酸素濃度はMo on Si界面よりも高いことが見出され、この酸素が界面でのMoSi_2相の成長を抑制しているものと考えられる。さらに、Mo on Si界面でも成膜時にわずかな酸化処理を施すことにより界面成長が抑えられることが明らかになった。 これらのことから、従来観察されたMo/Si多層膜における非対称拡散の機構は、以下のようであることを明らかにした。Si on Moの界面では、成膜直後のMo表面が非常に活性で酸化されやすいために、その後堆積されるSiとの間の拡散が抑制される。これとは対照的にMo on Si界面では、Siの表面が比較的酸素に汚染されにくいので、その後堆積されるMoとの反応性が大きい。両界面のこのような差が、非対称拡散となって現れるものと結論される。 Mo/Si多層膜は軟X線用のミラーとしての応用がなされているが、本研究の結果は、成膜時におけるMo on Si界面の適度な酸化処理により、高性能のミラーを製造できる可能性を示唆している。
|