Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究では,反応活性度の高いアークイオンプレーティング法を用いてa-C:N薄膜を作製し,構造および化学結合状態を明らかにすることによって,炭素と窒素の「アロイング」に関する基礎的知見を得るとともに,作製膜の機械的・光学的・電気的特性を評価し,新しい超高硬度材料,光学材料,また電子材料への応用の可能性を検討することを目的とした.トライボスコープを用い,アモルファス窒化炭素(a-C:N)薄膜の硬度および摩耗特性の評価を行った.さらに,電界放射特性評価を行った.なお,同じ成膜手法を用いてアルゴン含有アモルファス炭素(a-C:Ar)薄膜を作製し,特性の比較を行った. 【化学結合状態】sp混成比率およびN/C原子数比は,基板に印加するバイアスによって制御できた.しかし,これらの事象は独立でなく,過剰の負バイアス値によってsp^3混成成分の減少と窒素含有率の低下が同時に起こる.結晶性β-C_3N_4を多結晶状態で合成するには,sp^3結合と高い窒素含有率を同時に実現させなければならないため,今後,結合状態と窒素含有率を独立に制御するプロセス・作製条件を見出す必要がある. 【機械的特性】トライボスコープによるナノレベルでの摩耗試験の結果,a-C:N膜がa-C:Ar膜よりはるかに優れた耐摩耗性を有することがわかった.特に,基板バイアス-300Vで作製したa-C:N膜は耐摩耗性が最も高く,今回の試験方法(荷重20μN,30回繰り返し)では摩耗が検出できないほどであった.a-C:N膜の優れた耐摩耗性には,C-N化学結合状態,特に窒素のβ-C_3N_4的結合成分が重要な役割を果していると考えられる. 【電界放射特性】a-C:N膜は,約10V/μmという低いしきい値電界で電界放射現象を起こし,a-C:N膜の電界放射デバイスとしての応用の可能性が明らかとなった.
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