Project/Area Number |
11127203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | 時間反転不変性 / CP非保存 / 電気双極子能率 / 中性子 / スピンメーザー / 能動帰還型メーザー / 光ポンピング / スピン緩和時間 |
Research Abstract |
粒子が有限の永久電気双極子能率(EDM)をもつことは時間反転(T)不変性の破れの直接的証拠となる。特に中性子のEDMは、原子核の場合のような核構造から来る不定性に邪魔されず、標準理論を越える物理の可能性の重要な試金石となる。しかし中性子のもつ有限寿命のため、そのスピン歳差運動をコヒーレントに追跡できる時間は限られており、従来の方法ではEDM測定精度はもう原理的限界に近づいている。そこで本研究では、この限界を越えこれまでよりもはるかに精密なEDM測定を実現する方法として、新しいタイプのスピンメーザーを提案し、その動作について実験的・理論的解析を行なった。 本方法の要点はi)メーザーを構成することによってスピン歳差を自己維持させること、およびii)発振のための帰還機構に能動機能を導入することによって超低密度でしか得られない中性子系にこれを適用可能とすること、の2点にある。この新型メーザー機構を研究するため、動作物質として^<129>Xeスピン系を採り、前年度までに従来型スピンメーザーを発振させている。本年度、これをさらに改良して横緩和時間T_2=150sを実現した。またこれを用いてメーザー動作の詳しい測定を行ない、これが修正ブロッホ方程式に基づく数値計算結果とよく一致することを明らかにした。次いでその帰還部にロックインアンプとアナログ演算器からなる電子回路を組み込み、本研究の主眼である能動型メーザーを構成した結果、その発振に成功した。その動作を詳しく調べ、発振周波数の揺らぎとシフトに関する実験的及び理論的解析を行なった結果、この方法を超冷中性子系に適用した場合に現在のEDM検出限界を2-3桁改善する可能性があるとの結論を得た。
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