Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
触媒抗体7C8は,触媒抗体6D9と同じエステル加水分解反応を触媒することが知られている.しかしながら,その触媒メカニズムは6D9とは異なり,単なる遷移状態の安定化以外の因子が重要であることが指摘されている.反応速度に関して,6D9抗体では,pH変化に伴う速度変化が線形であることが特徴であるのに対し,7C8では中性付近ではpHで対し線形であるがpH9付近でプラトーに達するprofileとなる.これは,pH9付近にpKaをもつ解離性アミノ酸残基が触媒反応に関与していることを示しており,X線結晶構造解析から,これはTyr95(H)であると考えられている.今回,より広いpH領域における反応速度依存性を調べたところ,さらにpH4.5付近に変曲点があることが明らかとなった.そこで,7C8の触媒反応進行要因を探るため,NMRにより7C8の反応部位のミクロ環境の解析を行った.エステル中心の炭素を^<13>Cで標識した反応基質を作成し,7C8結合時における^<13>C化学シフトのpH滴定実験を行った.その結果,pKaが4.6を有する解離性アミノ酸残基が,反応部位に影響を与えていることが明らかとなった.一方,各種アミノ酸選択的安定同位体(^<15>N,^<13>C)標識7C8アナログを用いた解析により,pKaが4〜5を有するアミノ酸はHis92(L)であると考えられた.これらの事実は,抗体7C8による触媒反応がTyr95(H)とHis92(L)の解離性アミノ酸残基の相乗的な作用により推進されている事を意味する.現在,これらのアミノ酸残基が関与した反応機構を明らかにするため,反応中間体のリアルタイム検出を行っている. また,6D9,7C8の触媒機能の改変,および新規高活性触媒抗体の作成を目指した,大腸菌によるFv発現系の構築を行っており,現在,発現ベクターの作成が完了したところである.
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