[1.1]パラシクロファンの新規速度論的安定化と拡張共役系の構築
Project/Area Number |
11133202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 孝 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20029482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大北 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60211786)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | シクロファン / 歪み化合物 / 芳香族性 / 芳香族化合物 |
Research Abstract |
1.[1.1]パラシクロファン核の速度論的安定化と共役系の拡張 平面構造を最安定とするベンゼン環を著しく変形し、かつvan der Waals半径の和をはるかに超えた近接位に強制した構造をもつ[1.1]パラシクロファン(1)には、その固有の電子状態に由来する種々の特異性の発現が期待される。当初合成した1とその置換体はいずれも単離できる安定性を欠いていたが、[1.1]パラシクロファン骨格の歪みが集中する橋頭位炭素を立体的に保護する置換基を導入した誘導体が結晶として単離され、高い速度論的安定化が達成されることを見い出した。この結果は、橋頭位炭素を立体的に保護しさえすれば、[1.1]パラシクロファンを熱的に安定な化合物として取扱いうることを示したものである。 そこで、種々の官能基による芳香環の構造修飾が可能な、メチレン測鎖への置換基の導入による速度論的安定化と、[1.1]ナフタレノファン骨格の構築による共役系の拡張、および、そのペリ位への電子供与および求引性基の導入による[1.1]ナフタレノファン構造の性質への摂働を計画した。これらの新規誘導体の合成はいまだ未完であるが、本特定領域研究の年度内に合成を完了してそれらの諸性質を明らかにする予定である。 2.官能基化したパラフェニレン基を組み込んだマクロサイクルの合成 規制された配置をとって官能基化された剛直な大環状構造は、分子認識による錯形成や自己会合による組織体形成等の観点から注目されている。先に、比較的容易に合成できることを報告したジクロロDewarベンゼンが、官能基化したメタおよびパラフェニレン構造をその折れ曲がり構造を利用して大環状構造に組み込むための合成素子として有用であることを見い出した。すなわち、1,2-ジエチニルベンゼンとの交互(2:2)環化カップリング、および、1,3-ジエチニルベンゼン等価体との(2:4)環化カップリング、保護基の交換、光芳香環化によって官能基化したパラフェニレン基を組み込んだマクロサイクルが得られた。それらのキラル性、空孔への基質特異的取り組みと官能基による活性化は今後の検討課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)