Project/Area Number |
11133208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40004452)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | トリアルシルキリル基 / ラジカルアニオン / ジアニオン / スピロ化合物 / ESR / 立体電子効果 |
Research Abstract |
π系に結合したトリアルキルシリル基は優れた電子受容基として作用し、対応するアニオン種を安定化することができる。トリアルキルシリル基の電子受容性置換基としての特性を生かした新しい高スピンアニオン種を生成することを目的として、シリル置換ベンゼンをスピロ炭素で直交配置して連結した一群の化合物を合成し、そのアルカリ金属還元によって生成するアニオン種のスピン状態をESR分光法によって研究した。オルトジシリルベンゼン2個を1個のスピロ炭素で接合した系(1)のラジカルアニオンのESRスペクトルでは、不対電子は一方のベンゼン環に局在化することが分かった。興味深いことに、ベンゼン環上の4,5位のプロトンの結合係数は著しく異なった。ESRスペクトルの温度依存性から、シリル基の電子的効果の差異はスピロ炭素周りの環のコンフォメーションに関係づけられることが示唆された。シリル基の電子受容性効果の原因がケイ素上のd軌道ではなく、pπ-σ^*(SiC)共役であることの最初の実験的証拠を与えるものである。 1, 2, 4, 5-テトラシリルベンゼン2個をスピロ炭素2個直交配置して連結した化合物 (2) はカリウム金属還元によって、3重項ジアニオン種を与えた。シグナル強度の温度依存性に基づいて、その基底状態は一重項であるが3重項とのエネルギー差は46 cal/molにすぎないことが明かになった。さらにテトラシラベンゼン4個を含む同様の系 (3) の還元ではジアニオン、トリアニオンを経由する複雑な径時変化を伴ってテトラアニオン種にまで還元されることが明らかになった。
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