メゾスコピック領域でのベンゼノイド及び非ベンゼノイド縮合多環系の電子論
Project/Area Number |
11133218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
細矢 治夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (10017204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 恭子 青山学院大学, 理工学部, 専任講師 (20272742)
鷹野 景子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (00143701)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | グラフ理論的分子軌道法 / 有機電子論の数学的証明 / トンネル電子移動 / 縮合多環芳香族炭化水素 / グラファイト / エッジ状態 / 巨大双極子モーメント |
Research Abstract |
不飽和共役炭化水素中のπ電子の移動の方向と強弱が、古典的な有機電子論の図式的な方法でよく表されることの数学的な裏付けについての大局的な証明は、前年度までの研究で示すことができた。その際、大きな縮合多環芳香族炭化水素については、電子移動の減衰の速度を有機電子論で予測することはできないこと、及びある種の周辺構造をもつ巨大な縮合多環芳香族炭化水素で異常に大きな「トンネル電子移動」の起こることが判明した。即ち、多数のベンゼン環が平行四辺形状に縮合した系の末端に一個の窒素原子置換をするだけで、そこから最遠端より少し手前の周辺部の炭素原子上のπ電子が大きく吸引され、系としては巨大な双極子モーメントが生じる。今回これらの系について、HMOから得られるCoulsonの分極率と部分グラフのケクレ構造数との間の興味ある相関関係を発見し、そのグラフ理論的な解釈を得ることに成功した。 我々のグループでは、このように大きなπ電子共役系における端の構造の影響を、バンド理論の立場からも研究を進めている。即ち、巨大なベンゼノイド系において、armchair端とzigzag端の長さ(aおよびz)によって、両方の端を有する長方形ネットワークの電子状態がどのように記述されるかを、強結合モデルの範囲で調べた。z<6程度ではzの3倍周期で電子状態が変化するが、ナノスケールの領域ではエッジ状態というzigzag端の特徴がフェルミ準位近傍を支配する。また2次元グラファイトに特徴的なE=±1の軌道の数が、aとzの関数として周期的に変化することがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)