水素結合ネットワークを形成した有機顔料の光学的性質
Project/Area Number |
11133220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90281005)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 有機顔料 / 水素結合 / 電子構造 / 分子構造 / 結晶構造 / 相転移 / 赤外線吸収スペクトル / ラマンスペクトル |
Research Abstract |
1.ジケトピロロピロール(DPP)誘導体の結晶構造と電子構造の相関関係 5種類の顔料の固体状態における色調を励起子結合効果の立場から検討した。これらの顔料は溶液状態ではほぼ同じような吸収スペクトルを示すが、固体状態では純度の高い赤から黄色味を帯びた赤に到るまで様々な色調を示す。この色調の変化が励起状態における相互作用(励起子結合効果)に起因するとの視点から検討を行った。これらの顔料の結晶構造を基礎に励起子バンドの計算から、固体の吸収スペクトルをほぼ半定量的に説明出来る事が明らかになった。 2.分子間水素結合を形成したインジゴ顔料の電子構造 水素結合系顔料としてインジゴ、キナクリドン(QA)やピロロピロール(DPP)が知られている。QAとDPPは溶液状態では淡い黄色であるが、固体状態では鮮やかに赤に発色する。これに対し、インジゴは溶液でも青に着色しており、結晶化に伴う吸収バンドの長波長化の程度はQA,DPPに比べると格段に小さい。このメカニズムを解明する目的でインジゴの電子構造を分子構造、結晶構造、分子間相互作用の立場から検討した。光励起により分子上に出現する遷移モーメントの方向は、インジゴでは長軸方向にあり、QAとDPPでは逆に短軸方向にあることが判った。インジゴの長軸方向は光励起に伴う電子の移動が容易で空間的にも広く分布できることから、溶液状態では可視域に吸収バンドを示し青色を呈する。また、固体状態では遷移モーメント間の相互作用(励起子結合効果)が重要で、QAやDPPの結晶構造では典型的な"head-to-tail"型の配置を可能となるので大きな長波長化が期待できる。しかし、インジゴ分子はこのような配置をとらず、結晶化に伴う吸収バンドの長波長化が小さいことが明らかになった。 3.ピロロピロール誘導体の単結晶育成と結晶構造 DPPの1つのカルボニル基を硫黄原子で置換したモノチオピロロピロール(MTPP)ならびにフェニル環のメタ位にシアノ基のついたm-CN DPPの単結晶を気相から育成し、構造解析を行なった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)