Project/Area Number |
11133233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 昭弥 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30183031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90116088)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | π-共役系 / レドックス活性 / アントラキノン誘導体 / 酢酸パラジウム / 錯形成挙動 / π-π相互作用 / d-π相互作用 / 複合電子系錯体 |
Research Abstract |
本研究では、π-共役系分子の配列・制御に基づく新規な非局在電子系を構築することを目的とし、遷移金属に配位可能なPodand部位を有する芳香族π-共役系からなるレドックス活性なアントラキノン誘導体を設計合成した。さらに、この分子を結晶中で配列・制御することにより、分子レベルでの高次構造の精密制御を試みた。アントラキノン誘導体の結晶環境下での配列を検討したところ、アントラキノン環の間にπ-π相互作用が認められ、パッキング状態での組織化が可能なことが明らかになった。さらに、遷移金属塩として酢酸パラジウムを選びアントラキノン誘導体との錯形成を検討したところ、UV-visibleスペクトルにおいて錯形成が認められ、滴定曲線からアントラキノン誘導体と酢酸パラジウムは1:1の錯体を形成することが示された。しかしながら、この錯体では、パラジウムの4配位平面がアントラキノンの平面からずれているため、パッキング状態でπ-π相互作用による配列が困難となった。そこで、側鎖としてフェネチルアミノ基を導入したアントラキノン誘導体を合成し、酢酸パラジウムとの錯形成を検討したところ、同様に1:1の錯体を形成することが明らかとなった。この錯体の結晶環境下での配列を検討したところ、結晶状態でアントラキノン部位間でのπ-π、相互作用と、アントラキノン部位とパラジウム間でのd-π相互作用を有する複合電子系錯体システムが構築されていることが明らかとなった。以上のように、X線結晶構造解析により、パッキング状態においてアントラキノン部位間のπ-π相互作用について明らかにするとともに、遷移金属塩との錯形成に基づくπ-共役系複合系錯体を合成し、結晶環境下での分子構造と分子間相互作用との相関を解明し、π-π相互作用とd-π相互作用に基づく、π-共役系高次構造の組織化に成功した。
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