核酸塩基チオ誘導体におけるS-HX相互作用と水蒸気圧誘起結晶構造転移
Project/Area Number |
11133261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
菅原 洋子 北里大学, 理学部, 教授 (10167455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 滋典 北里大学, 理学部, 助手 (40286373)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ヌクレオチドチオ誘導体 / 結晶構造転移 / 水蒸気圧 |
Research Abstract |
生体分子結晶は、水素結合のネットワーク形成を通し高次構造体構築が実現されており、物性発現の観点から興昧ある対象である。核酸の構成要素であるヌクレオチド結晶では、結晶周りの水蒸気圧に依存して結晶水数が変化し、結晶構造転移が引き起こされる。相転移に伴う結晶構造変化の制御は、電子状態制御につながると期待される。そこで本課題では、塩基部分のカルボニル基をチオカルボニル基に置換し、分子間相互作用を修飾することにより相転移にどのような効果がもたらされるかを解析した。チオ誘導体の内、6-チオグアノシンは、塩基間の水素結合鎖により分子の層状構造が形成され、層間に結晶水領域が存在するというグアノシン、イノシンと共通した結晶構造をもつ。グアノシンの構造転移が可逆であるのに対し、2位のアミノ基を持たず塩基間の水素結合が弱いイノシンでは構造転移は不可逆になるが、6-チオグアノシンはグアノシンとシチジンの中間的性格を有する、即ち、相転移は可逆的であるが、ヒステリシスが顕著になることが明らかになった。また、結晶相から結晶相への相転移においては、1. 新しい相の核形成が既存の結晶構造環境下で進行するため、溶液からの結晶化とは異なる結晶構造が得られる 2. 構造転移のエネルギー障壁が低い準安定構造が容易に出現する ことが見いだされた。以上の結果より、水和サイトの組み込みと分子間相互作用の修飾に基づく結晶設計を行い、水蒸気圧誘起相転移を介した構造変調を加えることにより、新しいタイプの電子状態制御が行える可能性が示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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