Project/Area Number |
11135211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
北川 宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90234244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 克行 セイコーエプソン株式会社, 基盤技術研究所, 研究員 (70303352)
安 正宣 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10249956)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 配位高分子 / 水素吸蔵 / プロチウム / 混合原子価 / バンド・フィリング制御 / 電導性 / 高分子錯体 / プロトン共役レドックス |
Research Abstract |
本研究では、化学吸着により水素吸蔵される錯体ポリマーを開発し、電極電位や光により吸蔵/放出過程を制御することを最終的な目的とした。本研究の対象物質であるルベアン酸銅錯体ポリマーは、電子伝導とプロトン伝導を示すことに加えて、水素吸蔵能のあることが本年度の研究によって明らかになった。錯体ポリマーの修飾電極或いはその微粒子を用いて、電解還元法により水素吸蔵を行い、それに伴う構造変化・物性変化をX線回折、EXAFS、XPS、各種分光法、電気伝導度測定、磁化率測定によって詳細に調べた。プロトン共役酸化還元特性に基づいて、水素吸蔵されることがXPSと赤外分光測定によって明らかになった。金属錯体の重要な特徴の1つに、中心金属の酸化還元に伴い酸解離定数(pKa)が変化することがあげられる。これは、プロトン共役酸化還元特性として知られており、中心金属が酸化されるとpKaは小さくなり、逆に還元側ではpKaは大きくなる。アミノ基を有するルベアン酸系配位子は、二塩基酸性を示す。本来アミノ基は塩基性を示すのが一般的であるが、ルベアン酸はπ共役系の組み替えにより酸性を示す。通常起こりにくいアミノ基の水素解離が起こることから、解離イオン種はさほど安定ではないことが容易に予想される。つまり、錯体ポリマー中に侵入したプロチウムは、電子をCu(II)に与えてCu(I)へ還元し、プロトン(H+)はN位のローンペアに対して弱く水素結合するものと考えられる。安定な化学結合の場合、一方向にしか反応が進まず、反応した水素は決して脱離することはない。プロチウム侵入に伴い電気伝導性は9桁近く上昇し、その温度依存性から絶縁体→半導体→金属へと変化することがわかった。また磁性は、singlet-triplet係→局在スピン系→遍歴スピン系へと逐次変化する。プロチウム侵入に伴い、Cu(II)からCu(I,II)の混合原子価状態へと還元され、Cu3d軌道のバンドフィリングが変化し、抵抗の大きな減少が観測されたものと考えられる。磁性も還元に伴い、δ結合により打ち消し合っていた3d軌道のスピンが局在スピンヘと変化し、伝導度の上昇に伴いパウリ常磁性へと変化したものと解釈される。第一原理計算によって、バンドフィリング変化の検証も行った。 本年度の研究によって、二次元のルベアン酸銅錯体ポリマーが、プロトン共役酸化還元特性に基づき、水素吸蔵することが明らかになった。また他に例を見ないユニークな、プロチウムドーピングによるバンドフィリング制御・スピン制御を行うことができた。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)