酸化還元・加水分解反応を触媒する集積型金属錯体の合成と機能
Project/Area Number |
11136249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 助教授 (00183806)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 四核銅錯体 / 金属集積化 / 酸素酸化反応 / 速度論的解析 / 2電子移動 / 二核鉄(III)錯体 / ペルオキソ錯体 / エポキシ化 |
Research Abstract |
1)二座キレート配位子をアルキル鎖でつないだ四座配位子MeCnN4(n=4-6)を合成した。MeCnN4は、4つの銅イオンを集積して四核銅(II)錯体[Cu_4(OH)_4(MeCnN4)](1-3)を与えた。ここで重要なのは、この錯体の柔軟な構造が金属集積化によるフェノール類の酸素酸化反応に大きな加速効果をもたらしたことである。1-3が触媒する2,4-tert-ブチルカテコールの酸素酸化反応については詳細な速度論的解析結果をすでに報告したが、今回、新たに2つの事実が明らかになった。(1)ESIマススペクトルから、1-3は溶液中で二核・四核の平衡にある事が示された。柔軟なアルキルスペーサーがこれを容易にしていると考えられる。一方、3,5-ジ-tert-ブチルカテコールを加えた時の1-3のESIマススペクトルでは、四核錯体は完全に消失し、二核錯体だけになっていた。O_2/1-3/3,5-ジ-ブチルカテコールの反応速度は触媒濃度の2次に依存するので、律速段階における四核構造の形成が支持された。(2)反応系内にH_2O_2が発生していることを、化学発光法によって検出した。これらの事実は、この反応の律速段階が[Cu(I)Cu(II)]_2からO_2への2電子・2プロトン移動であり、四核錯体の形成が熱力学的に有利な2電子移動を加速しているというこれまでの結論を強く支持した。 2)2つのイミノジ酢酸(IDA)をアルキルスペーサー[-(CH_2)_n-,n=3-6]でつないだ配位子CnIDA2を用いて鉄(III)錯体{(NA)_2[Fe_2(O)(OBz)_2(CnIDA2)]}_m{n=3(4),4(5),5(6),6(7)}を合成した。7は、μ-oxo-di-μ-benzoato二核鉄(III)コアを複数個持つ多核錯体であった。結晶構造はまだ不明であるが、4-6は、μーoxo-di-μ-benzoato二核鉄(III)コア構造をもつ錯体である。溶液中の多核構造の安定性は、6-9でかなり異なる事がわかった。4はすべての溶媒に不溶性であるが、5-7は水に可溶であった。5の二核構造は溶解状態では非常に不安定であり、直ちに単核錯体へと変化した。6,7は、水溶液中、RCO_2存在下では、ある程度安定な二核構造を形成した。7の溶液にH_2O_2を加えると、ペルオキソ錯体が生成し、470nm付近にペルオキソ酸素から鉄(III)へのLMCTに帰属される新たな吸収バンドが現れた。この溶液に基質としてシクロヘキセンを加えると、触媒的に反応が進行し、シクロヘキセンオキシドが生成した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)