がん遺伝子rasを介する非アポトーシス性プログラム細胞死制御機構の解明
Project/Area Number |
11139274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
口野 嘉幸 国立がんセンター研究所, 生物物理部, 部長 (60124418)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Keywords | プログラム細胞死 / アポトーシス / カスパーゼ / 空胞形成 / H-ras / p53 |
Research Abstract |
プログラム細胞死は生体の恒常性を維持し、がんなどの疾病の発生を防ぐ生体防御機構としての役割を果たしている。したがってがんの発生や進展・転移の問題を考えていくためにはアポトーシスを含めたプログラム細胞死全体の機構とその実体を把握する必要がある。ことほどわれわれはがん遺伝子H-rasの発現によってヒトがん細胞にカスパーゼ非依存的に細胞死が誘導できることを見いだした。この細胞死は細胞の形態学的特徴からautophagic degenerationやoncosis、二型細胞死といった言葉でよばれるものに類似しており、分子レベルでの研究結果からもアポトーシスとは異なったタイプの細胞死であることが確認された。すなわちこの細胞死では細胞質での空胞形成が主体となっており、核やミトコンドリアの顕著な変化は認められなかった。またこのRasによって誘導される細胞死はカスパーゼの阻害剤であるz-VAD-fmkやz-Asp-CHOによって阻害されず、TUNEL分析においても陰性を示した。さらにアポトーシス抑制因子であるBcl-2やAktによっても抑制されなかったことから、今回われわれが見いだしたRasの発現によって誘導される細胞死は、アポトーシス(一型細胞死)とは異なった分子機構で制御されていると考えられた。この考え方はp53の変異によってアポトーシス耐性となった細胞にも細胞死が誘導されることからも支持された。このようなことからこのRas依存性の細胞死誘導機構を解析することは、二型細胞死の制御機構を分子レベルで理解できるだけでなく、そこから得られる情報をもとにアポトーシス耐性能を獲得した多くのヒトがんに対する新たな治療法の開発にも貢献できるものと期待される。このようにわれわれが独自に開発した実験系を用いて世界初となる非アポトーシス性の細胞死に関する情報を集積し、それらをもとにプログラム細胞死の全体像を把握していこうとするところに本研究の独創性があり、意義がある。
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Report
(1 results)
Research Products
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