カルシニューリン/NF-ATの制御機構と癌化との関連
Project/Area Number |
11139277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
芝崎 太 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・細胞生理, 研究員 (90300954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 信彦 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・細胞生理, 研究員 (80311421)
星川 裕 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・細胞生理, 研究員 (80280626)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
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Keywords | 脱リン酸化 / カルシニューリン / NFAT / Bcl-2 / アポトーシス / 癌化 / キナーゼ / 細胞周期 |
Research Abstract |
カルシニューリンを介する情報伝達系は転写因子NF-ATや抗アポトーシス蛋白Bcl-2 family memberを直接制御している.これらの制御機構を解析した結果、以下の諸点を明らかにした。 1. カルシニューリンはBcl-2だけではなく、pro-apoptosis蛋白であるBadをも脱リン酸化し、アポトーシスを誘導する。2. Bcl-2のリン酸化部位の内BH4領域にあるS24およびLoop領域にあるS70に対する特異的リン酸化抗体を作製した。この抗体を用いた解析の結果、これまでに報告のなかったS24もリン酸化されており、カルシニューリンのターゲットであった。また、このS24のリン酸化によりBcl-2の抗アポトーシス効果は完全に消失した。3. S70に対する特異的リン酸化抗体を用いた乳癌組織の染色像では約10例中染色パターンは異なるが全例S70のリン酸化をきたしたBcl-2が認められた。ヒトB細胞リンパ腫細胞株を用いた解析では、抗ガン剤Taxol、およびステロイド剤dexamethazoneにてそれぞれ内因性Bcl-2が強くリン酸化された。4. さらにはこれらのリン酸化パターンは完全に異なるため複数のBcl-2キナーゼの存在が推定される。5. 上記のTaxolによるリン酸化の誘導はG2/M依存的であり、Bcl-2キナーゼの細胞周期への関連性とともに、actinomycin D, cycloheximideによる完全なBcl-2キナーゼ活性の消失より、このキナーゼがde novo合成により制御されている可能性が示唆された。6. カルシニューリンによるNF-ATの制御に関わる重要なNF-ATのカルシニューリンの結合部位と競合する蛋白としてAfrican swine virusがコードするA238L蛋白、またカルシニューリン活性を直接抑制するCabinがあるが、これらはNF-ATの活性化を強く抑制し、細胞の活性化を阻止する。NF-ATは神経細胞、microglia astrocyteにも存在し、この情報伝達系の活性化や抑制が脳腫瘍における癌化の原因になりうる可能性が示唆された。 このようにカルシニューリンはBcl-2 family memberを脱リン酸化により制御し、アポトーシスの開始を調節している可能性があり、Bcl-2やBadさらにはその基質であるNF-ATの制御機構を詳細に解析する必要がある。またBcl-2のリン酸化部位に対する得意抗体は今後臨床での予後判定や、薬剤感受性をみるために有用と思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)