Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老名 雅仁 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10280885)
西條 康夫 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10270828)
佐藤 研 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00215782)
鳴海 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (30302219)
田澤 立之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70301041)
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Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,マウス肺癌細胞とヒト肺癌細胞を用い,その宿主・腫瘍応答にみられる腫瘍組織形成と腫瘍免疫排除という相反する二律性反応を解析するシステムを構築し,腫瘍形成過程に関与する因子を解析してこれを抑制する系と,一方腫瘍免疫逸脱に関与する因子を解析し,腫瘍免疫形成を促進する系,及びその相互連関を解析することにより,治療応用の基礎検討を行うものである。 遺伝子導入の手法を用いて,いくつかの遺伝子をマウスのルイス肺癌細胞とヒト肺癌細胞に導入し,その効果を解析し,以下の諸点を明らかにした。 (1)ヒトIL-1β遺伝子を導入したルイス肺癌細胞(LLC)は,腫瘍からVEGFやMIP-2,間質細胞からHGFといった血管新生誘導因子を過剰分泌させることにより腫瘍組織の急速な増大を来した。この系は,腫瘍細胞が宿主細胞へ働きかけ,腫瘍組織形成にいかに関与するかのモデルとして興味が持たれる。 (2)免疫原性の低いLLC細胞に,IL-2やIL-12といった単一のサイトカイン遺伝子を導入してもその効果は限定的で,宿主側の有効な免疫反応を引き起こせない。IL-2とIL-12を同時に導入することにより,宿主の強い免疫反応を誘導することが可能となり,腫瘍は拒絶され,protective immunityが獲得された。 (3)強力な血管新生誘導因子であり主として間質細胞から分泌されるHGFのアンタゴニストであるNK4(HGFのクリングルを含む断片)を腫瘍組織に導入することにより,腫瘍内血管新生を抑制し,腫瘍組織の縮小が得られた。 これら腫瘍・宿主組織応答の解析とこれに関与する物質の標的とした治療法の開発は,従来の腫瘍細胞を標的とする癌治療とは別の理念に基づいた治療法の開発に可能性を開くものである。
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