がんの免疫療法のための幼若Tリンパ球への遺伝子導入
Project/Area Number |
11140212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高濱 洋介 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | Tリンパ球 / 細胞分化 / 胸腺 / 遺伝子治療 / アポトーシス / MAPキナーゼ / クローン選択 / 免疫療法 |
Research Abstract |
悪性腫瘍に対する免疫応答において中心的役割を担うTリンパ球は胸腺内で成熟し、胸腺では生体にとって有益な認識特異性を持つT細胞のみが選択されて成熟を果たす。しかし胸腺内でTリンパ球がどのように分化し選択されるのか未だ不明であり、このことが、がん抗原を非自己として識別するように抗がん免疫応答を惹起させる治療法の開発を大きく阻んでいる。また、Tリンパ球のクローン選択で見られる細胞生死の分岐決定信号を解明することによって、悪性腫瘍の増殖シグナルを細胞死シグナルへとスイッチするという、新規がん治療法の開発が期待される。更に、がん免疫を指向した遺伝子治療を今後より有効な手法として推し進めていくためには、Tリンパ球に対して更に効率よく任意の遺伝子導入し、縦横に遺伝子発現を制御する技術の開発が検討される必要がある。これらがん免疫療法からのニーズに対して本研究はまず、クラゲ蛍光タンパク(GFP)を体細胞遺伝子導入した幼若Tリンパ球を、正常マウスの胸腺内に移入したところ、導入GFPを発現したTリンパ球が生体内で分化し、リンパ節や脾臓が再構築されることがわかった。この結果から、これまで開発を進めてきた幼若Tリンパ球に対する遺伝子導入法が生体外培養系だけでなく生体内においても応用できる手法であることが示された。幼若Tリンパ球への遺伝子導入に基づいたがん免疫療法の開発に向けて重要な知見であると考えられる。また、正の選択による細胞分化誘導にはERKキナーゼ経路、負の選択による細胞死誘導にはp38キナーゼ経路と、異なるMAPキナーゼ経路の活性化がそれぞれ優先的に関与することを示してきたことをうけて、抗原受容体信号のどのような差異が、異なるMAPキナーゼ経路の活性化をもたらしてクローン選択を誘導するのか解析を進めた。これまでに、p38キナーゼ経路の上流に位置するASK1キナーゼが負の選択誘導に優先的に動員されるとの予備実験の結果を得つつあり、現在更なる解析を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)