Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
成人癌730腫瘍小児癌250腫瘍においてテロメラーゼ活性が癌組織の85%に検出され,多くの癌組織で活性化しているが,検出頻度,活性レベルは癌腫によって異なっていた.テロメラーゼの構成成分の検討では,hTERT(human telomerase reverse transcriptase)発現レベルが最も活性度と相関し,hTR(human telomerase RNA component)の発現レベルも相関を認め,これらも癌診断の有用なマーカーになりうる可能性が確認された.しかし,hTERTにはalternative splicingを認め,このsplicingが活性度の一調節機序と考えられた. 乳腺吸引細胞診検体220,内視鏡検査採取検体83(胃・大腸内視鏡検査下検体擦過検体52,ERCP下膵胆道系擦過検体31)でテロメラーゼ活性と形態学の比較を行ったところ,乳癌診断ではテロメラーゼ活性の正診率が形態学を上廻っており,膵擦過細胞診検体でも高い正診率で,これらでは診断に有用で,形態学を組み合せることで診断率の向上が期待される.in situ法でテロメラーゼ活性やhTERT,hTRの発現を検討したが,テロメラーゼ高活性腫瘍では活性・発現を顕著に認めたが,低活性腫瘍での腫瘍内のheterogeneityを見いだせるほどの感度はなく,ましてや形態学を上廻る所見が得られた症例は少数であった. 以上の結果から,細胞診検体におけるテロメラーゼ活性の測定やhTERT,hTRの発現検討は,癌の存在診断に有用でとくに,乳癌,膵癌での有用性が確認された.一方,in situ法での検出では,客観的な診断根拠とはなるが,従来の形態学に比べて臨床での有用性は否定的であった.将来的に,hTERTに対する特異的かつ免疫染色に有用な抗体が見いだせれば診断に有用と考えられた.
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