Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
|
Research Abstract |
我々は,酵素分子活性中心の基質遷移状態のコンフォメーションを固定したミミックをデザインするという新しい論理的な方法を用いてキノスタチン(KNI)-272をはじめとする高活性高選択性阻害剤を合成することに成功した.この有用な方法を,細胞内およびウイルスプロテアーゼ阻害剤のデザインに応用し,基質遷移状態誘導体と酵素の相互作用の解析から阻害剤を分子設計し,それに基づいてペプチドミミックを合成し,メカニズムの明確なプロテアーゼ阻害剤開発の一般的論法を確立することを本研究の目的とした.また本研究によってカテプシンDなどの細胞内ならびにウイルスプロテアーゼの蛋白分解反応の分子機構を解明をめざした. HIVプロテアーゼとその誘導体として,チオエーテル置換誘導体,ジスルフィド結合架橋により共有結合したダイマー酵素も合成した.阻害剤は遷移状態誘導体の概念に基づいてプロテアーゼに特徴的な基質の切断部位Phe-ProおよびLeu-Val(P1-P1')のアミド結合をイソステリックな還元型[CH_2-NH],ヒドロキシエチレン型[CHOH-CH_2]等に変換し,各基質遷移状態誘導体に合成した.また,阻害剤の低分子化も試みてジペプチド阻害剤も合成した. 酵素・阻害剤複合体を形成させてNMR解析を行った結果,活性中心のアスパラギン酸(Asp25とAsp125)のイオン化状態が,結合しているプロテアーゼ阻害剤のタイプにより異なり,従来同一の作用機構を有すると考えられていた活性中心標的型プロテアーゼ阻害剤がそれぞれ異なるメカニズムにより酵素阻害作用を発現することを明らかにした.また,トリペプチドHIVプロテアーゼ阻害剤KNI-529が,HIVプロテアーゼとの複合体中で,解離することなしに配向を反転させているという興味ある結果も得られた.
|