兆基増強を制御する局所回路調節におけるノシセプチンの役割
Project/Area Number |
11145212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 神戸大学, 医学部, 教授 (70251212)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | シナプス伝達 / ノシセプチン受容体 / 長期増強 / 海馬 / 電気生理学 / 分子生物学 / 可塑性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1.ノシセプチン受容体が中枢神経系のニューロンで活性をもっているかどうかを検討するため、海馬スライス標本を用いて錐体細胞からホールセル記録を行い、GIRKがノシセプチンにより活性化されるかどうかを調べた。-70mVに電位固定して膜電流を測定し、ノシセプチンを灌流投与すると、入力抵抗の低下を伴った外向き電流が観察された。ランプパルスの電位コマンドを与えて灌流前と灌流中の電流-電圧曲線を取り、その差からノシセプチンにより誘発された電流成分の電流-電圧曲線を書くと、内向き整流特性を示し、その反転電位は約100mVとなり、カリウムの平衡電位にほぼ一致した。また、Ba^<2+>によりこの電流は制御されたため、中枢神経系のニューロンにおいてノシセプチン受容体の活性化によりGIRKが活性化されることがわかった。2.これまで知られていたオピオイド受容体は、海馬の錐体細胞においては何ら電流応答を引き起こさないことが知られていたが、ノシセプチン受容体の場合は錐体細胞に直接作用を示すことから、海馬の神経機能に関与している可能性が予想されたので、次にノシセプチン受容体遺伝子欠損マウスを用いて、海馬の興奮性シナプス伝達とその可塑性を解析した。変異型マウスでは、CA1領域での入出力関係やpaired-pulse facilitationなど基本的なシナプス伝達には異常は見られなかったが、長期増強(LTP)が野生型マウスの約2倍に増大していた。LTPは海馬における記憶形成に関与する現象であると考えられていることから、モリス水迷路学習テストおよび受動的回避学習テストを行ったところ、変異型マウスがいずれのテストでもよりよい成績を示し、LTPの増大と学習能力の向上に相関があることが示唆された。以上の結果から、正常動物においては、ノシセプチンは神経系の可塑的な変化を抑制する作用を有するものと結論された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)