Project/Area Number |
11149215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | 酵母 / プロテインホスファターゼ / ゲノム / DNA損傷チェックポイント |
Research Abstract |
出芽酵母の遺伝子機能解析プロジェクトの一環として、欧米で全遺伝子6,000の網羅的な破壊プロジェクトが進行しているが、機能重複のためか表現型の検出が困難であることが明らかになりつつある。本研究は、全塩基配列情報によりゲノムに32種存在することがわかっているプロテインホスファターゼ(PPase)遺伝子のうち、単独破壊株が生存可能である29種について、i)全ての組合わせ(406通り)の二重破壊株を作製し、どのような組み合わせの二重破壊株が致死となるか、ii)どのような表現型が現れるかを網羅的に解析することを目的とした。昨年までに、310通りの組み合わせの二重破壊株を構築したので、本年は、残りの組み合わせについて二重破壊株の取得を試みた。その結果、新たに88通りの組み合わせの二重破壊株が得られ、合計398通りとなった。次に、これらの二重破壊株について、特にDNA障害チェックポイント制御に関係するメチルメタンスルフォネート(MMS)および紫外線(UV)感受性表現型について解析した。 細胞周期、遺伝子発現、タンパク質の分解など、リン酸化、脱リン酸化によるタンパク質の活性制御が重要な役割を果たしている生命現象は多い。中でも、DNA損傷チェックポイント制御には多くのリン酸化タンパクが関与している。しかし、その脱リン酸化に働くPPaseは全く同定されていない。DNA損傷チェックポイント欠損変異株は、MMSとUVの両者に感受性を示す。一方、MMSとUVによるDNA損傷の修復欠損変異株では、修復様式が異なるため、いずれかに感受性を示すのみである。そこで、DNAチェックポイント、あるいはDNA修復に関与するPPaseを同定するため、単独破壊株および二重破壊株について、MMS感受性、UV感受性表現型を解析した。その結果、一重破壊株でMMS感受性を示すものとして、△pph3破壊株、および△ptc2破壊株を見い出した。また、UV感受性を示すものとして、ptc1遺伝子破壊株、及びycr079w遺伝子破壊株を見い出した。次に、280株の二重破壊株について、MMS感受性およびUV感受性を調べた。その結果、5組(2%)の二重破壊株(△pph22△yvh1、△cna2△ycr079w、△ptc1△pph21、△ptc1△tep1、△ptc1△ynr022c)がMMS感受性であることがわかった。また、UV感受性を示すものとして、3組(1%)(△cna1△ppz1、△ptp1△ynr022c、△yvh1△ynr022c)の二重破壊株を見い出した。しかし、本研究では、MMS、UVの両者に同時に感受性のものは見出せなかった。これらの事実から、上記のPPaseはDNA損傷チェックポイント制御に直接的に関与しているというより、それぞれの損傷を修復する修復装置に近いところで働いている事が示唆された。
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