Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
Y染色体は日本人の間でも,個体ごとに構造が異なり,その機能も違っていると考えられる。Y染色体の3つのDNA多型を利用して,日本人男性のY染色体を4つのハプロタイプに分けた。 正常男性における精子数を検索するために,神奈川県の3つの病院において少なくとも1名の子どものいる198名の健康なボランティア男性より,精子及び血液検体を得た。血液よりゲノムDNAを抽出後,上記3種類の多型マーカーの組合せからY染色体のタイプを決定し,精子数との関連について統計学的な考察を行った。また,無精子症患者の検体を神奈川県及び大阪府の病院で採取し,ハプロタイプを決めた。 私たちがタイプIIとしたグループでは精子数が有意に少なかった。また,このグループは無精子症に集積していた。 これらの事実から,直ちに発せられる質問の代表的なものは,「なぜ精子数が少なく無精子になりやすい男性の系統が生き残ってきたのか」ということである。それも含めて以下に示すような事項に興味が持たれる。 1.ヒトとヒトで,どの程度Y染色体の構造が違うのか。 2.Y染色体の構造の違いがどのようにして,精子数の違いにつながるのか。 3.男性のグループ間で精子形成能以外の他の表現型も違うのか。すなわち,精子数が少ないことを補う表現型があるのか。 4.現在,内分泌かく乱物質の問題で精子数モニターが行われているが,各男性の遺伝的背景を考慮する必要があるのではないか。環境ホルモンに対する反応に個人差があるか。 5.実際の歴史の上で,それぞれのタイプの男性の割合(シェア)がどのように変化したか。 今後このような課題の検討に向けて,研究を進めていく予定である。
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