Notchシグナリングと器官アイデンティティーの確立
Project/Area Number |
11152201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90221944)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | ホメオティック遺伝子 / 器官形成 / マスターコントロール遺伝子 |
Research Abstract |
複眼原基と触角原基の一部でNotchシグナリングを活性化すると、その触角原基の一部にeyが発現し、異所的な複眼が誘導される.その時、胸の体節で発現するAntennapedia(Antp)遺伝子を同時に発現させると、複眼が翅に、触角の一部は中肢に変換する.Antpが翅と肢の特異性を付加する機構として二つの可能性がある.一つは、Antpが胸(T2)という体節全体のアイデンティティーを付加し、その後、たとえば背腹の情報などにより、翅と中肢の特異性が決定される可能性であり、もう一つは、Antpが翅と中肢の特異性をそれぞれ別個に付加する可能性である.そのどちらであるかを検討するために、様々な変異を加えたミュータントAntp蛋白を発現させ、翅と肢の誘導能を比較した.もし翅と肢の誘導に必要な機能部位が両者で異なる場合は、第2の可能性が支持される. その結果、野生型のAntp蛋白を、Notchシグナリングの活性化と共に発現させると、156匹の内およそ半数の個体で複眼が翅に変換し、26%の個体で触角から中肢への変換が認められたのに対して、Hox遺伝子間で良く保存されており、co-factorであるExd/Pbx1蛋白が結合する、4種のアミノ酸の配列、YPWMモチーフをアラニンに置換したミュータント蛋白を発現させると、517匹の内、複眼から翅への変換を示した個体は一匹も観察されなかった。一方、およそ20%の個体が、触角から中肢への変換を示した.この結果は、Antp蛋白のYPWMモチーフは、翅のアイデンティティーの決定に必要であるが、中肢の決定には必要ではないことを示している.したがって、Antpは同一体節内において翅と中肢の決定にそれぞれ別個に関わり、翅の決定にはYPWMモチーフが重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)