Project/Area Number |
11152224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小椋 利彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (60273851)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 肢芽 / 上肢 / 下肢 / T-box / 眼 / 細胞視蓋投射 |
Research Abstract |
本研究では、T-box型転写因子Tbx5、Tbx4遺伝子の肢芽wing/leg identity決定における機能を詳細に検討することを目的とした。発生過程のニワトリ肢芽では、Tbx5がwing budに、Tbx4がleg budに特異的に発現する。この発現の意味を探るため、電気穿孔法を新たに改良し、Tbx5をlegに、Tbx4をwingに強制発現させた。この結果、wingの形態は大きく変化し、ツメ、4本の独立した指、羽毛の消失とウロコの形成等、leg様の形態が確認された。また、legの形態も著しい変化を見せ、全体が羽毛に覆われ、骨の形態にwing様の変化が認められた。このような変化は、Hox遺伝子の肢芽における発現変化を伴って起こっていることも確認された。このような事実は、両Tbx遺伝子が肢芽のwing/leg identityの決定に直接関与していることを意味している。また、Tbx5をlegに発現させたときには、内在性のTbx4遺伝子の発現は著名に抑制されていた。これに対し、Tbx4をwingに発現させた時には、内在性のTbx5の発現には全く変化がなかった。このことは、Tbx5遺伝子が遺伝的には優性であり、legの形態がdefault stateであることを意味しており、進化論上の四肢形態の機嫌を知る上で重要な知見である。 本研究では、同時に、Tbx5遺伝子が発生過程の眼の背側に限局して発現していることが見出された。この意味を探るため、同様に電気穿孔法によって、Tbx5遺伝子を眼の腹側に強制的に発現させた。この結果、眼の形態が著しく変化し、double dorsal様になった。これは、種々の背側、腹側マーカーの発現の逆転によっても確認された。Tbx5遺伝子の発現は、眼の発生の後期にも維持されることから、網膜視蓋投射への関与が示唆された。これを確かめるため、レトロウイルス法によってTbx5遺伝子を網膜の腹側に発現させたところ、網膜視蓋投射の極性に著しい乱れが認められた。このことは、tbx5遺伝子が肢芽のみならず、眼の形態形成にも大きな役割を担っていることを示している。
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