Project/Area Number |
11152225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
倉谷 滋 岡山大学, 理学部, 教授 (00178089)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | 神経堤細胞 / ホメオボックス遺伝子 / 成長因子 / パターン形成 / 総弓系 / 上皮間葉相互作用 / 無顎類 / 実験発生学 |
Research Abstract |
無顎類の一種であるカワヤツメ(Lampetra japonica)と、ニワトリを顎口類を代表する実験系として用い、実験発生学的手法に基づいて、脊椎動物の咀嚼器形成機構とその進化を研究した。サメの発生に明らかなように、顎口類の上下顎はともに顎骨弓に由来する。ここで問題となるのは、これまで相同な器官の原基に発現すると思われていたDlxホメオボックス遺伝子(LjDlx1/6)の発現パターンである。カワヤツメについては上下の唇と縁膜に発現するこの遺伝子の相同物(Dlx1)は、顎口類では決して顎前領域には発現しない。また顎口類では、もう一つのホメオボックス遺伝子であるEmxは脳に発現しても頭部間葉には発現しないが、カワヤツメ胚ではこの相同遺伝子(LjEmx)が上唇間葉にも発現する(投稿中)。このような現象の背景のひとつには、外胚葉上皮と神経堤間葉との間の相互作用が動物によって異なることが考えられた。例えば、当研究室の別の研究によって明らかになったようにカワヤツメにおいては鼻プラコードと下垂体が単一の原基として発生するが、顎口類ではそれが極めて早期に分離し、神経堤細胞に対し、異なった分布と成長の方向をもたらす。このような相違によって、顎口類と無顎類では対応する間葉が接する上皮にそもそも違いがあるらしい。このようなエピジェネティックな相互作用の同定という形で進化過程を記述する目的で、まずニワトリ胚においてどのような基本的な間葉の領域特異化が生ずるかを観察した。ニワトリ胚ステージ10では、のちの顎骨弓にはまだ完璧には神経堤細胞が流入していないが、顎骨弓をおおう外胚葉にはすでにFGF8が発現している。発生が進むと、その前方にBMP4の新たな発現領域が生じ、これら二つの成長因子の重なるところに、顎骨弓と顎前領域の境界が形成されるようであった(投稿中)。さらに、これらの因子はDlxをはじめとする制御遺伝子の上流にあることが知られ、同様な成長因子の分布はアフリカツメガエル胚でも同様に観察された。この境界の位置は成長因子に異所的に与えることでシフトでき、その結果として、顎と顎前領域の形を変化させることができた。顎の進化の背景には、子のような細胞の相互作用が生ずる場所の変化が関わっていたと推測された。
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