Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
β-cateninはカドヘリンの裏打ちタンパクで,カドヘリンを介した細胞接着に重要な役割を果たすと同時に,Wnt/Winglessシグナル伝達経路の構成要素としても機能している。さらに最近,β-cateninは大腸癌の癌抑制遺伝子APC産物と結合して負の制御を受けることや,それ自身が大腸癌やメラノーマで変異を起こして活性化しており,oncogeneとして機能していることが明らかになった。さらに,Wnt/Wingless刺激によって活性化されたβ-cateninはTcf(T cell factor)/Lef(lymphoid enhancer-binding factor)と結合して核移行し,転写活性化を引き起こしている。 CBP(CREB-Binding Protein)は,cystein/histidine-rich(C/H)domainが3カ所,CREB結合領域,bromo-domainやglutamine rich domainが存在し,進化の過程で多様な機能ドメインを獲得した可能性を思わせる特徴的な構造から構成されている。そして,これらのドメインを介して基本転写因子を含めた様々な因子と複合体を形成することが明らかになりつつあり,Histone acetyltransferase(HAT)活性を有する転写インテグレーター(統合装置)としてのCBPによる統合的転写制御機構が注目を集めている。 興味深いことに,申請者らはCBPとβ-cateninがin vitroで結合することを見出してきた(未発表)。そこで11年度の公募申請研究では,以下の3点に焦点を絞り,CBPとβ-cateninの相互作用の細胞生物学的意義を明らかにすることを目的とした。 《1》結合領域の同定:準備実験の結果,β-cateninのCBPへの結合領域はC-末端側であることを明らかにしているが,さらに詳細な結合領域を明らかにした。 《2》細胞生物学的意義:予備実験によって,CBPとβ-cateninが核内で共存することを見出している。 β-cateninのCBPへの結合領域はp53との結合領域と重複する可能性がある,p53依存的なアポトーシスを阻害するかどうかを明らかにした。 《3》β-cateninの核輸送:β-cateninがどのような刺激で核移行するのかを,集積・拡散の観点から検討してるところである。
|