修飾塩基を含むRNAの化学合成および構造と機能の探索
Project/Area Number |
11155210
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 猛 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90240548)
|
Project Period (FY) |
1999
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | 修飾塩基 / RNA / tRNA / ホスホニル化 / ホスホリル化 / 保護基 |
Research Abstract |
天然には、tRNAをはじめとして、A,C,G,U以外の修飾塩基を含む核酸分子が数多く存在し、それぞれが固有の構造と生理活性を担っている。本研究は、これらの修飾塩基を含む核酸分子を化学合成し、修飾,塩基の構造特性、反応性、物理化学的性質、生理活性を化学的な立場から明かにすることを究極の目的とする。 修飾塩基をもつヌクレオシドを酵素的にtRNAに組み込むためには、ヌクレオシドの5'-および3'-水酸基をホスホリル化する必要がある。一般に、ヌクレオシド類のホスホリル化反応に際して、副反応を防ぐために、核酸塩基には塩基性条件下除去される保護基が導入される。しかし、修飾塩基の多くは通常の核酸合成に用いられる保護基の除去条件下で分解してしまう。そこで、本研究では、穏和な酸性条件下除去可能なあたらしいリン酸基の保護基を開発し、修飾塩基をもつヌクレオシドの効率的なホスホリル化反応を確立することを目指した。まず、穏和な条件下で核酸塩基を保護することなくホスホニル化できる新しい試薬を開発した。種々のホスホン酸第三級アルキルエステルを合成し、ヌクレオシド5'-水酸基に対するホスホニル化反応を試みたところ、t-ブチル基および2-メチル-1-フェニル-2-プロピル基を置換基としてもつホスホニル化剤を用いた場合に良好な収率で5'-位がホスホニル化された目的物が得られた。これを酸化することにより、高収率で対応するホスフェートヘと変換できた。一方、2'および3'-位に遊離の水酸基をもつヌクレオシドに対して、同様の条件で反応をおこなったところ、2',3'-環状ホスホネート誘導体が得られた。これは、2'または3'-水酸基がホスホニル化された後に、隣接する水酸基の分子内攻撃によって第三級アルコールが脱離して生成したものと考えられる。得られた化合物を酸化することにより、ヌクレオシド2'、3'-環状ホスフェート誘導体を高収率で得た。この化合物はリボヌクレアーゼで処理するとヌクレオシド3'-ホスフェートへ定量的に誘導できるため、きわめて有用である。現在、これらの新規反応を、種々の修飾塩基をもつヌクレオシドに応用し、tRNAに組み込むための基礎的な検討をおこなっている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)