Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
F_1モーターの回転機構を解明するために以下の研究を行った. まず,結晶構造から,ヌクレオチドの有無によって大きく二面角が変化するアミノ酸残基を探し出した.それによると,ミオシンATPaseでヒンジ領域といわれている部分に対応する残基番号179-181のHis,Gly,Gly残基が大きな二面角の変化を起こすことがわかり,それをAlaに変異させた.この変異によりβサブユニットのヌクレオチド結合型のコンフォメーションが安定化し,何らかの影響が回転に現れると期待した。しかし結果はF_1-ATPaseに特徴的なADP・Mgによる特異的阻害状態を安定化する効果を示し,回転の頻度は低くしたが,回転に伴うトルクなどには目立った影響を与えなかった。安定化の度合いを阻害状態の安定性から見積もったところ,エネルギー的にはごく小さな変化が速度的には大きく表れているとの結論を得た. 次に触媒部位付近にTrpを導入した変異体でヌクレオチド結合とATP加水分解活性の関係を調べた.野生型の酵素にこのTrp変異を導入した変異体では,ATP結合と加水分解活性の間に必ずしも明瞭な関係が見られなかった.これは非触媒部位へのATP結合の影響によるものと考えて,非触媒部位を破壊する変異を更に加えて検討した.その結果,最大活性は3カ所の触媒部位に同時にATPが結合したときに得られることがより明澄に確認できた. 一方,非触媒部位を破壊した変異体で,回転を観察した.この場合,ADPによる特異的阻害が非常に強く,観察が困難であったのでさらにβT165S変異を導入した.その結果,ADPによる特異的阻害は回転が完全に停止した状態であること,それ以外にも小刻みな回転・停止状態があることがわかった.
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