細胞外グルタミン酸濃度上昇に伴う小脳プルキンエ細胞変性および超微形態変化
Project/Area Number |
11157201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 雅彦 北海道大学, 医学部, 教授 (70210945)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 神経細胞死 / グルタミン酸毒性 / グルタミン酸トランスポーター / 遺伝子欠損マウス / 電子顕微鏡 / 脳虚血 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
脳虚血に伴うプルキンエ細胞の形態変化をひきおこす機構に対するグルタミン酸の関与の有無を明らかにするために、細胞外グルタミン酸濃度を上昇させた際の、プルキンエ細胞の変化を調べた。プルキンエ細胞の興奮性シナプスには、グルタミン酸トランスポーターGLASTとEAAT4の2種類があり、これらがシナプス間際に放出されたグルタミン酸を除去していると考えられる。そこで、これらのトランスポーター遺伝子を欠損させたマウスが虚血に陥った際の形態変化を調べた。なお、プルキンエ細胞は虚血をおこすと、細胞死に至らないまでも、樹状突起内の滑面小胞体が平板化し層状に配列するようになるスタッキングとよばれる構造変化を起こすことに着目し、その変化の程度を虚血のレベルの指標として用いた。 グルタミン酸のトランスポーターEATT4はプルキンエ細胞に特異的発現し、グルタミン酸トランスポーターGLASTは小脳のバーグマングリア細胞に特異的に発現する。和田、田中が作成したそれらの遺伝子のノックアウトマウスには、組織学的、超微形態的にも異常は見当たらなかった。また、両者の遺伝子をダブルノックアウトしたマウス、それはプルキンエ細胞シナプスに放出されたグルタミン酸の排除機構がほとんど消失することを示唆するが、組織学的にも超微形態的にも異常が見当たらなかった。しかし、数分間の無呼吸負荷を与えると、ダブルノックアウトマウスでは対照マウスに比べスタッキングが亢進しておこっていた。また、代謝性グルタミン酸受容体に対する拮抗薬を投与したマウスでは、虚血状態で引き起こされるスタッキングが起きにくくなるとの報告もあり、以上2つのことをあわせると、プルキンエ細胞の脳虚時には代謝性グルタミン酸受容体が過度に活性化されスタッキングが引き起こされている可能性が高いと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)