Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
家族性パーキンソン病(PD)の原因遺伝子α-synucleinは孤発性PDやLewy小体型痴呆症(DLB)に出現するLewy小体(LB)や多系統萎縮症(MSA)のグリアに出現するglial cytoplasmic inclusion(GCI)の構成成分であることが明らかになり、神経変性における役割が注目されている。本年度はDLB,MSA脳に蓄積したα-synucleinの生化学的分析、培養細胞系を用いたα-synuclein蛋白の諸性質の検討を行った。DLB,MSA脳のLB,GCI多発部位をホモジェナイズ後、段階的に抽出し、抗α-synuclein抗体でウェスタン解析した。トリス,Triton-X可溶画分では正常脳組織に由来すると思われる全長α-synuclein蛋白が多量に抽出され、対照例と差はみられなかった。SDS,尿素可溶画分にはDLB,MSA特異的にα-synuclein免疫反応を示す蛋白が抽出され、主に全長α-synucleinの形をとっていた。ヒトα-synucleinを培養細胞に発現させると、14kDaの全長蛋白に翻訳され、細胞質中に広く分布すると同時に核内にも局在が見られた。cycloheximide処理、S35ラベルによるpulse-chase解析から半減期は約20時間以上であることが解った。またプロテアソーム阻害剤ALLN処理後も、ユビキチン化α-synucleinの出現は見られず、α-synuclein量にも変化はみられなかった。疾患脳特異的に検出された不溶性α-synucleinはDLBではLewy小体や変性神経突起、MSAではGCIに由来するものと考えられ、特異的な翻訳後修飾やプロセシングの解析が次の課題である。またユビキチン・プロテアソーム系はα-synucleinの主要な細胞内代謝経路ではないと推定された。
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