線条体由来蛋白性物質によるドーパミンニューロン死の制御
Project/Area Number |
11157213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤池 昭紀 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80135558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 利明 京都大学, 薬学研究科, 助手 (10303843)
香月 博志 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40240733)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 一酸化窒素 / グルタミン酸 / 神経細胞死 / 神経保護因子 / ステロイド / 線条体条件培地 / 胎仔血清 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
これまで我々は、グルタミン酸-NO系により誘発されるドーパミンニューロン死を抑制する内在性物質を探索する目的で、培養線条体細胞条件培地および牛胎仔血清(FCS)に含まれる神経保護活性物質の探索を行った。細胞の供給が容易な培養大脳皮質細胞系を用いてグルタミン酸神経毒素に対する作用を検討したところ、その神経保護活性成分はエーテルにより容易に抽出されることを見出した。さらに、条件培地に添加されている牛胎仔血清(FCS)のエーテル抽出も、培養線条体細胞エーテル抽出物よりは弱いながらも有意な保護作用を示すことを見出した。FCSエーテル抽出物がグルタミン酸を抑制するとともにNOドナーのS-nitrosocysteine(SNOC)誘発神経毒性も抑制することから、SNOC神経毒性に対する作用に注目して精製を試みた結果、SNOCおよびグルタミン酸の神経毒性を強力に抑制する分画を得ることに成功した。得られた分画をマススペクトリー法により分析したところ、ほぼ単一の成分に分離されており、その成分の分子量が382であることが明らかになった。本成分のMS/MSによる解析の結果より、既知のステロイドホルモンとは分子量、化学構造が異なる新規ステロイド化合物であることが推定された。FCSに含まれる本化合物の推定濃度は1mg/Lであった。含量が少なく通常のNMRによる解析に供するだけのサンプルを得ることができなかったため、プロトンNMR解析および精密分子量解析を行うことにより、化学組成を決定するとともにステロイド骨格及び置換基の構造に関するデータを得た。その結果、本化合物は水分子が容易にはずれることから分子量382と364の2種類の化学構造の間を容易に遷移すること、ステロイド骨格の3位、4位および17位に特有の置換基が結合していることが明らかになった。本化合物には17位をはじめとして立体配置が不明な不斉炭素が少なくとも2カ所あり、その立体構造の詳細を検討中であるが、新規の神経保護性ステロイドとしてニューロン死の制御に重要な役割を持つことが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)