両指向性HIVを支持する新規HIVコレセプターの単離とその解析
Project/Area Number |
11161222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 洋助 熊本大学, 医学部, 助手 (30284764)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | HIV / ケモカイン受容体 / ウイルス侵入 / ケモカイン / ウイルスエンベロープ |
Research Abstract |
Mip-1α抵抗性R5 HIVの樹立 HIVの感染にはその標的細胞上のCD4分子及びケモカイン受容体であるCXCR4ないしCCR5分子がその侵入に必須であり、CXCR4がT細胞株HIV(X4 HIV)、CCR5がマクロファージ指向性HIV(R5)の感染を支持することが明かとなっている。また、HIV感染の病態進行にしたがい、ウイルスはR5からX4へと進化していくと考えられているが、そのメカニズムについては未だ明らかではない。一般にマクロファージ指向性HIV感染はCCR5の正常リガンドであるC-Cケモカイン類、MIP-1α,MIP-1β,RANTESにより阻害され、CXCR4のリガンドであるSDF-1には抵抗性である。そこで、このようなC-Cケモカインの存在がR5からX4への進化と関連しているのではないかと考え、in vitroにおいてR5 HIV感受性T細胞株であるCCR5発現MOLT-4#8(MOLT-4#8/CCR5)を標的細胞として、MIP-1α存在下でR5 HIVからMIP-1α抵抗性ウイルスを樹立し、このような抵抗性の獲得がHIVのR5からX4へのシフトに関与しているかどうか検討した。得られたMIP-1α抵抗性ウイルスは、CD4及びCCR5発現HeLa細胞であるMAGI/CCR5を使用したアッセイ系で、親株のJR-FLと比較して、約4-5倍の耐性を示していた。またウイルスエンベロープのアミノ酸配列上、親株と比較しV2とV3と呼ばれる変異に富んだ領域にそれぞれ単一アミノ酸変異が認められた。すなわち抵抗性HIVのV2領域においてはバリンからメチオニン(V166M)への、V3領域においてはセリンからグリシン(S303G)への変異が生じていた。これらの変異の中で、いずれのアミノ酸変異がその抵抗性付与に関連しているかを検討するために、V2,V3領域単独変異及び両者の変異をもつHIVエンベローブ発現ベクターと、ルシフェラーゼをリポーター遺伝子としてもつHIVとのシュードタイプHIVを作製し、MAGI/CCR5を標的細胞としてMIP-1α抵抗性について検討した。その結果V2及びV3領域の両者の変異がMIP-1α抵抗性に必要であることが判明した。しかしながら、このウイルスのケモカイン受容体利用性は親株と同様にCCR5だけであり、CXCR4へとは変化していなかった。これらの所見より、このようなC-Cケモカインの存在はR5からX4へ進化のプレッシャーとしては機能していないと考えられたが、CCR5を利用しながらC-Cケモカイン抵抗性を獲得するウイルスがin vitroで存在できうることから、HIVのエンベロープの侵入に際してのCCR5認識と、正常リガンドであるMIP-1αのCCR5の認識は、まったく同一ではなく分子学的に差違があることが明かとなった。さらにはエンベロープのCCR5認識にはV3領域が主要な働きをしていることが以前より報告されていたが、今回の所見からV2領域もその認識に関連していることが明かとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)