Research Abstract |
1.マウスに5FUを投与し,in vivoで造血幹細胞をenrichし,その後,マウス骨髄細胞を採取し,この骨髄細胞に,レトロウイルスベクターを用いて,WT1遺伝子を導入し,骨髄細胞でWT1遺伝子をconstitutiveに発現させ,G-CSF存在下でコロニーアッセイを行ったところ,CFU-GM,CFU-G,CFU-Mコロニーの数が,コントロールに比し,著明に増大した。また,コロニーを形成している細胞の表面マーカーを解析したところ,分化マーカーの発現の抑制が見られた。以上のことは,WT1は,myeloid系の増殖を促進させ,分化を抑制することが示した。 2.WT1遺伝子がtumor suppressor gene機能と,oncogenic機能の両者の機能を発現するのは,WT1タンパクとWT1タンパクに結合し,WT1タンパクの機能をmodifyする種々のWT1結合タンパクとのタンパク-タンパクinteractionによると考えられるので,このWT1結合タンパクのクローニングを試み,WT1を高発現している白血病細胞株K562から,分子量120KDaのWT1結合タンパク(WTIPと命名)をクローニングした。このタンパクは,957コのアミノ酸からなり,WWドメインをタンデムに2つもち,この構造から,pre-mRNAのsplicingに関与している可能性がある。今後,ノックアウトマウスの作製などで,このWTIPの機能を明確にしたい。
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