ユダヤ教キリスト教における創造的営為としての聖書解釈の比較研究
Project/Area Number |
11164212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Humanities and Social Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20223084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 信博 同志社女子大学, 学芸学部, 教授 (00189052)
鶴岡 賀雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60180056)
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Project Period (FY) |
1999 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥12,100,000 (Direct Cost: ¥12,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ラビ / 祭司 / ネフェシュ / 翻訳聖書 / 近代的文献学 / ルイス・デ・レオン / 神の臨在 / カヴォード / シュヒナー / 『キリストの御名』 / 日本語訳聖書 / 聖書中心主義 / ユダヤ教 / タルムード / 福祉 / 正統 / 異端 / 神の意志 / 法論理 / レトリック / 古典学 / 世界観 / ミシュナ / 裁判 |
Research Abstract |
本研究は、ユダヤ教とキリスト教の思惟方法の比較研究を通して、聖書解釈における宗教伝統それ自体の意義と役割を明らかにすることを目的とした。複数の異なる宗教伝統による聖書解釈を検討することは、われわれの直接的な古典理解の妨げになるのではなく、むしろ読み手と古典とを仲介する積極的意義あるものと位置付け、それらの伝統による成果、即ち考えられたこと(thought)のみならず、考えるという能動的な過程(thinking)により多く注目し、聖書解釈のもつ創造的な思考のプロセスを提示することを目指した。 市川は、法の宗教としてのラビユダヤ教の生活実践における霊魂論を検討し、関心は現世の行いにあること、人間の魂は人生儀礼やトーラーの実践を通して成長し、魂の完成に至ることが可能であることを確認した。また、ラビの宗教伝統とは異なるユダヤ教の古代における主流としての祭司的ユダヤ教の世界観を整理し、これこそが神の臨在と顕現を媒介するという古代宗教の中心であったことを指摘した。 中村は、旧約聖書を中心に聖書邦語訳史について検討し、聖書中心主義をかかげるプロテスタント主義において、翻訳聖書は所期の目的を越え、教派教会性に固執しない文化としてのキリスト教を日本に現出させる遠因となったことを指摘した。また、旧約聖書における魂論の可能性についてヘブライ語ネフェシュの使用事例を検討し、それが「生」の質にかかわる概念であり、霊肉二元的なギリシア的魂論と著しく相違する点を指摘した。 鶴岡は近世スペインの神秘主義におけるルイス・デ・レオンの聖書解釈理論とその実践を、「雅歌注解』、『キリストの御名について』、「ヨブ記注解』に関して検討し、そこに、ある意味では近代的文献学に通ずる原典・原語主義と、いわゆるキリスト教カバラに属する特異なヘブライ語解釈と、中世後期以来の唯名論的言語理解と、いわゆるプラトン主義的詩的言語論が、独特なかたちで調和・共存しているありさまを発見した。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)