Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,我々が豊富な経験を持つ分子線エピタキシーの手法を用いてフラーレン及びアルカリ金属/有機分子ドープフラーレンの単結晶薄膜・超格子・微細構造を作製し,固有の物性を追求することを目的としている。特に,ヘテロ薄膜に対する基板の影響に注目し,(1)基板がフラーレン薄膜の格子定数・物性に与える影響,(2)基板-薄膜間の電荷移動裏決定,(3)π電子系-半導体表面相互作用の定量的解明,(4)選択成長法によるフラーレン微細構造の作製,といった研究を行う。本年度は以下のような成果を得た。 まず,パルスバルブを利用した溶液噴射法を開発し,加熱に対し不安定なフラーレン誘導体C_<60>Me_5Hのエピタキシャル薄膜をMoS_2基板上に形成することに成功するとともに,超高真空下で電子状態の測定を行った。この手法により,不安定で蒸着不可能な有機分子のエピタキシャル薄膜を真空下で形成する道が開かれた。次に,金属内包フラーレンLa@C_<82>の単結晶エピタキシャル薄膜を分子線エピタキシー法によりMoS_2基板上に作製し,電子エネルギー損失分光法によりその電子状態を調べた。その結果,観察されたフェルミ準位近傍の電子状態間の遷移エネルギーが理論計算とほぼ一致することが確認された。また,界面第1層目と2層目以降ではLa@C_<82>薄膜の成長様式及び電子状態が異なることも判明した。 また,活性なSi(111)基板表面に存在するダングリングボンドを異種原子で終端し不活性化することで,単結晶フラーレン薄膜をエピタキシャル成長することが知られているが,本研究においてbilayer-GaSe終端Si(111)表面が均一に平坦,かつ大気中でも安定であることが発見され,有機分子性結晶のエピタキシャル成長基板として有望なことが判明した。
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