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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本年度は,シラ-Wittig転位における気質の一般性,立体選択制,光学活性アリルアルコール誘導体を用いた[1,3]-不斉転写について検討をおこなった。さらに,オレフィン上の置換基がフェニル基の場合,反応は異なった位置選択性を示し,シクロプロパン化反応が進行することを見出した。 ケイ素上にメシチル基,オレフィン末端にヘキシル基を有するE-体の2級アリルアルコール誘導体に対して,ブチルリチウムをTHF中,0℃で作用させ,3時間後に塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。すると,[2,3]-転位生成物であるアリルシアンが良好的な収率で得られた。E-体,Z-体どちらの基質からも選択的にE-体のアリルシアンが生成した。また一級アリルアルコール誘導体からも転位反応が進行し,2級アリルシアンを得ることに成功した。 次に光学活性2級アリルアルコールを用いた[1,3]-不斉転写について検討をおこなった。R-E-体のアリルアルコール誘導体(光学純度94.5%ee)を用いて,同様の条件で転位反応をおこなったところ,S-E-体のアリルシアンが収率76%,光学純度91%eeで得られた。S-E-体のアリルアルコール誘導体(>98%ee)からも同一の絶対構造を有するアリルシランが収率78%,光学純度96%eeで得られた。 オレフィン末端にフェニル基を有する基質においては,同様の条件でシクロプロピルシランが唯一の立体異性体として得られた。生成物の立体構造は単結晶のX線結晶構造解析により決定した。この反応の機構は以下のように考えられる。まず,系中で生成したシリルリチウムが分子内オレフィンへ求核付加し,4員環が形成されると同時に,ベンジルリチウムが生成する。これが1,3-脱離を起こすことでシクロプロパン環が形成される。本反応は,連続的分子内付加-脱離反応による新しいシクロプロパン環合成法として有機合成上有用であると考えられる。
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