Project/Area Number |
11166241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福住 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40144430)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 電子移動 / ラジカルアニオン種 / 触媒 / ESR / 理論化学計算 / Marcus理論 / ストップトフロー法 / レーザー時間分解分光法 |
Research Abstract |
溶液中の反応の理論的予測が最も進んでいるのは電子移動反応であるが、Marcus理論による取り扱いの対象は電子供与体と受容体の2成分系に限られる。第3成分としての触媒による電子移動反応の制御法の開発は、非常に重要な課題であるにもかかわらず実験、理論両面での研究が立ち遅れている。我々はこれまでに、電子移動反応においてルイス酸である金属イオンが、生成するラジカルアニオン種と錯形成することで安定化し、電子移動触媒として作用することを見い出している。電子移動反応における中間体ラジカルアニオンやその金属錯体の検出は、ESRやストップドフロー法、レーザー時間分解分光法を用いて行い、中間体ラジカルアニオン金属錯体の錯形成様式および電子状態を明らかにした。具体的には、活性酸素種のスーパーオキシド(O_2*)が、スカンジウムイオン(Sc^<3+>)と錯形成することを見出し、溶液系で、しかも常温でのESR観測に初めて成功した(Fukuzumi,S.et al.,j.Am.Chem.Soc.1999,121,1605-1606)。O_2*はSc^<3+>のみならず各種金属イオンと錯形成し、その結合の強さはO_2*金属錯体のESRのg因子(g_<zz>成分)の大きさと相関関係があることが明らかになった。これは縮重したSOMOおよびLUMO軌道の分裂幅の違いを反映している。また、種々のカルボニル化合物のラジカルアニオンと金属イオンの錯体の過渡吸収スペクトルも観測した。このように、O_2*のみならずラジカルアニオン種と金属イオンとの相互作用は、精密な理論計算から得られる分子軌道情報を実験的に検証できる最適の研究対象である。
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