新規な分子空孔の設計と含カルコゲン高反応性化学種の構造および反応性解明への応用
Project/Area Number |
11166258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70262144)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | セレネン酸 / セレノール / ヒドロペルオキシド / 酸化 / 立体保護 / 反応機構 / 同位体ラベル |
Research Abstract |
本研究では、セレネン酸(RSeOH)など重要な反応中間体として知られていながら不安定であるために研究が困難であった化学種を、独自に開発したbowl型反応場を活用して安定化し、その構造および反応性について解明することを目的として検討を行った。官能基周辺に酸素などのヘテロ原子を含まない不活性なbowl型置換基として、側鎖にm-テルフェニルユニットをもつ新規な置換基(Bmt基)を有するセレノールを合成した。セレノールからセレネン酸への酸化過程は、グルタチオンペルオキシダーゼの触媒サイクルにおいて過酸化物を無毒化する重要な過程であるが、これまで直接観測はおろか捕捉実験による確認すら報告されていない。Bmt基を有するセレノールを過酸化水素により酸化したところ対応するセレネン酸が主生成物として生成し、シリカゲルクロマトグラフィーにより77%の収率で単離することができた。セレネン酸はヒドロペルオキシドの重元素類似体に相当するため、その酸化還元特性に興味がもたれる。ヒドロペルオキシドと三級リン化合物との反応の場合、リン原子がヒドロキシ酸素を攻撃する機構が知られている。一方、セレネン酸による酸化の場合、リン原子がよりソフトな求電子部位であるセレン原子を攻撃する経路をとる可能性も考えられる。しかし、従来は安定なセレネン酸が得られなかったためその反応機構についての研究は困難であった。そこで、Bmt基をもつセレネン酸と三級リン試剤との反応について、重酸素水存在下での同位体ラベル実験により検討することとした。その結果、三級リン試剤が酸化された生成物に重酸素が高い割合で含まれることが明らかとなった。種々の対照実験を行った結果、セレネン酸の反応の場合には、ヒドロペルオキシドの場合とは異なり、リンがセレンを攻撃してホスホニウム塩中間体を経由するの経路をとることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)