神経細胞活動に付随する微視的な磁界分布の境界要素法による解析
Project/Area Number |
11170211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教授 (70199115)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 脳磁界 / 神経活動 / 海馬CA3 / MEG / コンパートメント・モデル / 樹状突起 / 軸索 / 細胞形状 / 神経回路 / 神経細胞 / 膜電位 / 生体磁場 / 脳磁図 / マイクロ SQUID |
Research Abstract |
海馬CA3スライスの微小SQUIDによる計測を想定し、スライスから2mm離れた線上の磁界の時間発展を改良コンパートメントモデルによって計算して、細胞の各部位の寄与を評価した。その結果、観測される磁界の起源は、従来考えられているEPSPよりはむしろ発火に伴う逆伝搬パルスにあり、その時空間的に微妙な相殺の仕方によって大きく変化することが明らかになった。空間配置としては、basal dendriteとapical dendriteがsomaをはさんでほぼ直線状に延びる典型的な状況を考えた。そして生理実験でbasal dendriteを刺激した場合(細胞外近傍電極による)にスライス全体で生成される3相の磁場を再現するようにフィッティングを行った。単一細胞が生成する総合的に観測される磁場B_<total>について、そのピークは時間的に遅く空間的に長いEPSPによるもの(〜3[fT])よりは、むしろ発火時(およびバースト時)に2つのdendritesを逆伝搬するパルスによるもの(12〜15[fT])であることが確認された。またその内訳はbasalによるものB_<basal>(30[fT])とapicalによるものB_<apical>(45[fT])であるが、それぞれを別々に考えたときの波高値は非常に大きく、しかし逆向きで互いに相殺するため、その微妙なタイミングによって、B_<total>の波高値が決定されることが明らかになった。この結果は、樹状突起の微細なチャネル密度分布が、発生磁場に大きな影響を与えることを意味している。また、軸索による磁場B_<axon>は2[fT]程度であり、観測系の時空間分解能が高い場合、無視できない値であると言えることも明らかになった。 一方、それと同時に、新たに提案した2次元ダイナミクス方程式によって、微視的な膜電位の振舞いの解析を進めた。その結果、細胞体部分などの細胞膜が曲率を持つ部位(膜面積が電位進行方向に対して拡大・縮小を伴う部位)では、電位の伝達速度が大きく変化することを明らかにした。すなわち、膜面積拡大部分では速度が極端に遅くなり、逆に縮小部分では極端に速くなっており、この現象は発火を引起す膜上の位置に影響を与えていると考えられる。また伝達速度の伝導層厚み依存性が、曲率がゼロの場合にはν∝D^<1/2>(速度ν、厚みD)であるのに対し、細胞体の直径が50μmの場合、信号波面の拡大部分ではν∝D^<0.77>であり、より厚み変化に敏感であった。これらの結果は、細胞形状が膜電位ダイナミクスに大きな影響を与えることをはじめて明かにしたものである。さらに、細胞外の電位・電流を取り入れた理論を再構成し、数値的な評価を進めている。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)