マウス小脳顆粒細胞の移動・細胞内構造分化の極性決定を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
11170227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見学 美根子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10303801)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥6,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 細胞極性 / 中枢神経系ニューロン / Pax6 / Wntシグナル / 小脳顆粒細胞 / 小脳 / 顆粒細胞 / 外顆粒層(EGL) / 内顆粒層(IGL) / 遊走 / 平行線維 |
Research Abstract |
中枢神経系回路網の形成には、個々のニューロンが移動して配置し、情報伝達の方向に従って樹状突起や軸索を配向して細胞極性を獲得することが不可欠である。小脳皮質ニューロンの顆粒細胞は、発生中方向転換しながら大規模に細胞移動したのち、特徴的な軸索と樹状突起を分化させる。顆粒細胞の極性形成を制御する分子の候補として、形態形成因子Wntおよびホメオボックス遺伝子Pax6の機能に注目した。Wntシグナル因子のうち、Wnt7bおよび受容体Frizzled、細胞内伝達因子Dishevelledが大脳と小脳皮質の特定の層で特異的に強い発現を示した。FrizzledとDishevelledには後シナプス膜に特異的なPDZ領域が存在し、シナプスにおいて機能する可能性がある。そこでこれらのタンパク質の細胞内局在を多重標識免疫蛍光法で解析したが、シナプスにおける局在は確かめられなかった。またこれらの分子を培養した顆粒細胞に強制発現させたが、形態分化に対する影響は見られなかった。 一方Pax6は顆粒細胞の極性化に重要な働きを持つことが明らかになった。Pax6変異動物の顆粒細胞は軸索束を形成せず、正しい細胞移動が起らない。培養したPax6変異顆粒細胞は種々の顆粒細胞分化マーカーを正常に発現するが、成長円錐の運動性と軸索形成が昂進しており、細胞骨格制御系に異常がある事が示唆された。これらの異常は顆粒細胞自身のPax6発現の欠如によって起こることが、以下2つの実験で明らかになった。-(1)Pax6変異細胞の形態異常はPax6の強制発現によって回復するが、野生型顆粒細胞との混合培養では回復しなかった。(2)Pax6の転写活性を抑制するドミナントネガティブ変異分子をレトロウィルスを用いて野生型の脳に強制発現させると、感染した顆粒細胞の形態分化と移動が選択的に阻害された。-即ち、Pax6が顆粒細胞の形態と移動の極性を司る内在性調節因子である事が示された。 今後はPax6の下流で制御される細胞骨格編成機構を明らかにし、顆粒細胞の内在性極性化因子の探索を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)