Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
脳における情報伝達は,神経細胞やグリア細胞の細胞膜に存在する機能分子である受容体やイオンチャネルを介して細胞内に伝えられることによって達成される.細胞膜にはこれらの機能を発現するために特殊化された膜領域(コンパートメント)が存在し,機能的に関連する分子が集積していると考えられる.シナプスはその代表的なものであり,それ以外にもコンパートメントが存在すると推定されているが,その実体は不明である.本研究では,コンパートメントの解明のためには,神経系に発現している機能分子の膜上における二次元的な分布状態を,フリーズフラクチャーレプリカを用いた免疫細胞化学的標識によって電子顕微鏡レベルで解析することを目的とした.本研究期間において,小脳におけるP/Q型カルシウムチャネル分子がシナプス膜のみではなく,プルキンエ細胞の細胞膜に凝集して存在している可能性を示唆する所見が得られた. ラット小脳の150ミクロン厚スライスを加圧凍結装置で新鮮凍結固定を行った.凍結試料を凍結割断装置で凍結割断後,白金と炭素蒸着を行った.割断・蒸着した試料をSDS処理し,レプリカ膜を回収した.レプリカ膜を抗P/Q型カルシウムチャネルalAサブユニット抗体,ついでコロイド金標識二次抗体で標識し,電子顕微鏡用グリッドに回収,透過型電子顕微鏡Tecnai10で観察した. P/Q型カルシウムチャネルの局在を示すコロイド金粒子は,平行繊維-プルキンエ細胞間のシナプス前膜のP面に認められた.金粒子は神経伝達物質の開口分泌に対応すると考えられる膜の陥凹に近接した膜領域(active zone)には見られず,active zoneを取り囲むように,やや離れた膜領域に観察された.また,プルキンエ細胞の樹状突起では,膜内粒子の凝集をともなった膜領域に金粒子の集積が認められた.小脳の凍結超薄切片を用いた免疫標識では,シナプス領域の周囲部の膜とプルキンエ細胞の樹状突起の細胞膜に金粒子の結合が見られた.金粒子が結合した樹状突起の細胞膜の直下には,小胞体が頻繁に観察されたことから,IP3受容体との関連が示唆された.今後,IP3の微細局在を解析するとともに,P/Q型カルシウムチャネルとIP3の相互作用について細胞生物学,分子生物学的な解析を試みる.
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