Project/Area Number |
11170237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
筒井 和義 広島大学, 総合科学部, 教授 (20163842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浮穴 和義 広島大学, 総合科学部, 助手 (10304370)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥6,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | ニューロステロイド / プレグネノロン硫酸エステル / プロゲステロン / 小脳神経回路形成 / シナプス情報伝達 / プルキンエ細胞 / 運動学習 |
Research Abstract |
脳などの神経系がコレステロールをもとに独自にステロイドを合成することが見いだされ、この新しいしい概念の脳分子を「ニューロステロイド」と呼ぶ。脳におけるニューロステロイドの作用を解析するには、ニューロステロイドを合成する細胞を明らかにする必要がある。我々は、可塑性シナプスを有する記憶ニューロンとして知られる小脳のプルキンエ細胞が活発にさまざまなニューロステロイドを合成することを見いだし、ニューロンによるニューロステロイド合成を初めて明らかにした。プルキンエ細胞が脳の代表的なニューロステロイド合成細胞であることは脊椎動物に一般化される重要な発見である。脳の代表的なニューロステロイド合成細胞として同定されたプルキンエ細胞を用いた実験系は、ニューロステロイドの作用を解析する良いモデルとなる。我々はプルキンエ細胞がつくるニューロステロイドの作用を電気生理学的手法と超微形態学的手法により解析した。その結果、新生期のプルキンエ細胞が活発に合成するニューロステロイドであるプロゲステロンには、プルキンエ細胞の樹状突起発達とシナプス形成を導くゲノミック作用があることがわかった。小脳の神経回路は新生期に構築されるが、プロゲステロンはニューロンの発達やシナプス形成を導くことで、神経回路構築を促進すると考えられる。一方、その後恒常的にプルキンエ細胞が合成するニューロステロイドであるプレグネノロン硫酸エステルには、構築された神経回路のシナプスでなされる情報伝達を変化させるノンゲノミック作用があることも見いだされた。小脳には運動を正確に円滑にする働きがあり、小脳でなされる運動学習は、神経回路のシナプスでの情報の流れが変化することが大きな要素と考えられている。我々の一連の研究により、ニューロステロイドが運動学習を担う神経回路構築とシナプス情報伝達の調節に関与することが示された。現在、ニューロステロイド合成酵素やニューロステロイド受容体の遺伝子破壊などを行い、運動学習に着目した行動解析を進めており、期待された成果が得られている。
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