Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
われわれはヒト胃壁細胞の細胞質部分にsyndecan-1の発現がみられ,特にNSAIDsの大量使用による急性出血性潰瘍症例で高度に発現していることを初めて見いだした.その意義を動物モデルで検討した. 体重20〜22gのBALB/Cマウス,100〜140gのSprague-Dawleyラットを用い,24時間絶食後Aspirin500μg/g体重を経口投与した.2.5時間後同量のaspirinを 投与し,その2.5時間後に胃を摘出した.抗マウスsyndecan-1抗体(Phar Mingen)または抗マウス/ラット/ヒトsyndecan-1抗体(Research Diagnostics)を用い,ABC法または間接蛍光抗体法で免疫染色した. 対照群のマウス(n=5),ラット(n=5)では,syndecan-1の発現は胃腺窩上皮細胞の細胞膜にみられ,壁細胞を含めて固有腺細胞にはみられなかった.一方aspirin投与群では,マウスの27%(6/22),ラットの100%(5/5)で壁細胞の細胞質にsyndecan-1の強い発現がみられ,顆粒状の染色性からミトコンドリアでの発現が示唆された.壁細胞におけるSyndecan-1の発現のみられたマウスおよびラットでは,組織学的に表層上皮細胞の脱落,壁細胞の腺管からの遊離・円形化,壁細胞内の管腔様構造の拡大などの所見が観察された. NSAIDsの大量使用によるヒトの急性出血性胃潰瘍症例に観察された組織学的変化,および壁細胞の細胞質におけるsyndecan-1の発現誘導が,マウスおよびラットのaspirinによる胃粘膜障害モデルで再現された. Growth factor除去時,血管内皮細胞において,syndecan-1と結合したheparin-binding protainがミトコンドリアに集積し,caspase-3の活性化の抑制を介してapoptosisを抑制していることが報告されている.壁細胞のミトコンドリアに強発現するsyndecan-1は,NSAIDsによるcaspase-3の活性化を介したapoptosis誘導から壁細胞を保護している可能性があると考えている.
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