骨格筋興奮・収縮連関分子機構とカルシウムイオン制御の系統発生に関する国際共同研究
Project/Area Number |
11694213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Cell biology
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 勲 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (80001973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 泉雄 徳島大学, 国立生理学研究所・生体膜, 助手 (80202183)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 骨格筋 / 横紋筋 / 興奮・収縮連関 / 細胞内カルシウム制御 / 系統発生 / 頭索類 / 毛顎類 / リアノジン受容体 |
Research Abstract |
脊椎動物骨格筋は系統発生的進化の結果、興奮・収縮連関において筋小胞体(SR)に貯えられたCa^<2+>のみを使う独特の機能(Depolarization-Induced-Calcium-Release;DICR)を獲得した。そのため細胞外からのカルシウムイオン流入を必要としない。DICR獲得の結果、骨格筋細胞全体が伝播性のナトリウムスパイクに感応して収縮し、収縮速度は活動電位の頻度により調節されることにより、神経支配効率が飛躍的に高まった。我々は進化系統樹をたどりDICRは原索動物の最上位に位置する頭索類と脊椎動物最下位の無顎類の間で不連続的に現れたことを突き止めた。この進化はL-型Ca^<2+>であるdihydropyridine(DHP)受容体分子が膜電位センサー機能を獲得(あるいは増幅)した時と一致することを発見した。しかしDICRはDHP受容体機能によってのみ発現するのではなく、T-管、SRおよびSRのCa^<2+>放出チャネル(ryanodine受容体)を含んだ細胞構造と機能分子群による複合現象である。これらの細胞構造と機能分子群はそれぞれ系統発生的進化を伴っている。実際、最も脊椎動物に近い頭索類(Amphioxus)横紋筋においては、生理的興奮・収縮連関にはL-型Ca^<2+>チャネルを通るCa^<2+>の流入が必要である。しかしSCNイオンでDHP受容体を修飾することによりDICR機能を発現させることができる。すなわちSRは骨格筋に近い細胞内カルシウム制御機能を有する。他方、毛顎類(Caetognath)は原索動物に分化する以前の動物種でるが、横紋筋は骨格筋同様T-管,SRを有する。SRは蛍光ryanodineで特異的に染色されるが、ryanodine、caffeineともに薬理作用が全くない事を発見した。Ryanodine受容体は細胞内Ca^<2+>放出チャネルとして機能していないプロトタイプであると考えられる。SRにはCa^<2+>が蓄積されることから、進化のこの段階においてはSRの機能は細胞質からのCa^<2+>の取り込みのみである。脊椎動物以前の、毛顎類から頭索類に至る進化の過程で、Ryanodine受容体は細胞内Ca^<2+>放出チャネル分子機構を獲得した。この分子進化をたどることが今後の研究課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)